大阪桐蔭・松尾 圧勝呼んだ2打席連発!4安打5打点 桑田&清原級だ甲子園3季連続本塁打

[ 2022年8月15日 04:06 ]

第104回全国高校野球選手権第9日・2回戦   大阪桐蔭19―0聖望学園 ( 2022年8月14日    甲子園 )

<聖望学園・大阪桐蔭>9回、大阪桐蔭・松尾は2打席連続となる左越え2ラン(撮影・井垣 忠夫)
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 3度目の春夏連覇、1998年横浜以来、史上2校目の秋春夏3冠を狙う大阪桐蔭が、投打に聖望学園を圧倒し16強入りを決めた。今秋ドラフト候補の3番・松尾汐恩(3年)が甲子園3季連続本塁打となる2発を含む4安打5打点。主砲にけん引された打線は大会歴代3位タイで同校の甲子園最多となる25安打を放ち、19得点を挙げた。 

 まさに「最強」だ。大阪桐蔭は歴代3位タイ25安打で計19得点し、聖望学園を圧倒。記録的勝利の中心にいたのは今秋ドラフト候補の松尾だった。

 「1回戦は苦しい形になってしまって、チームとしてもっとやらないといけないところで、今日、勝てたのは素直にうれしい」

 4、6回にそれぞれ適時打を放ち、迎えた8回先頭の第6打席。長い滞空時間で左中間へ運ぶソロを放った。9回1死二塁ではライナーで左翼席へ突き刺した。2打席連発で、同校の夏最多となる19点目を叩き出した。PL学園・清原和博、桑田真澄らも記録した聖地3季連続本塁打を記録し、“KK級”の活躍で4安打5打点と打線をけん引した。守っても、扇の要として前田ら2投手を好リード。8回からは三塁守備にも就いた。

 2打席目まで安打がなくても動じない。中学時代に修正能力につながる「考える力」を磨いたからだ。2年の終わり、知人に助言を受けた母・美和さん(43)から突然、告げられた。「今日から家で打つよ!」。父・太志さん(44)が自宅駐車場の奥に作ったケージで、1日1000球のトス打撃が始まった。全て打ち終わるまで夕食はお預け。高校入学まで続いた。松尾は言う。「最初はめっちゃめんどくさかったですけど、あれがきっかけで、打撃を考えられるようになった」。スイングを繰り返す中で実戦を想定し、理想の形を追い求められるようになった。

 これで甲子園通算5本塁打。大阪桐蔭では平田良介(中日)、森友哉(西武)、藤原恭大(ロッテ)といったドラフト1位指名を受けた先輩たちに並ぶ同校歴代最多タイとし、自らも今秋ドラフト1位候補に挙がる。その視線の先にとらえるのは頂点のみだ。

 「自分たちにしか春夏連覇の権利はない。先を見ず一戦一戦を戦っていきたい」

 体重「3150グラム」でこの世に生を受けた主砲が、チームを春夏連覇という「最高」の景色へいざなう。(北野 将市)

 ◇松尾 汐恩(まつお・しおん)2004年(平16)7月6日生まれ、京都府精華町出身の18歳。川西小1年から精華アトムズで野球を始め、精華中では京田辺ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入りし、2年春から今夏まで4季連続で甲子園出場。高校通算37本塁打。1メートル78、76キロ。右投げ右打ち。

 《初戦反省で低い打球意識》25安打中、単打が20本を数えた。内野手の間を鋭く抜く打撃は、12ものフライアウトを重ねた初戦・旭川大高戦の反省を生かしたもの。この日、先制打など2安打2打点の4番・丸山一喜は「低い打球、低い打球と意識してやった」と翌日の練習から修正したことを明かした。試合前にも主将の星子天真が「しっかり叩いていこう」とチーム内で意思統一し、即座に快音と勝利につなげた打線に対し、西谷浩一監督も「先制しつつ、粘り強くやってくれてよかった」とうなずいた。

 《3季連続は7人目》大阪桐蔭・松尾汐恩が聖望学園戦で2本塁打。甲子園3季連続本塁打は16年夏~17年夏の盛岡大付・植田拓以来7人目。史上最長は83年夏~85年夏の5季連続のPL学園・清原和博。2打席連続本塁打は今大会で高松商・浅野翔吾が2回戦・佐久長聖戦で記録して以来41人目、43度目。甲子園通算5本塁打は歴代5位タイ。

 《歴代3位タイ25安打》大阪桐蔭が聖望学園戦で1試合25安打。早実が10年2回戦・中京大中京戦で記録した記録に並ぶ歴代3位タイ。春夏を通じて大阪桐蔭の甲子園最多安打。

 《同校の夏最多19得点》大阪桐蔭が聖望学園戦で1試合19得点。敦賀気比が19年2回戦・国学院久我山戦で記録して以来で、夏の大会における大阪桐蔭の最多得点。春夏通じても18年選抜準々決勝・花巻東戦に並ぶ同校の甲子園最多タイ。

 《先発全員安打》大阪桐蔭は先発全員安打、全員得点。仙台育英が19年1回戦・飯山戦で記録して以来。

 《6イニング連続得点》大阪桐蔭が初回から6イニング連続得点。作新学院が19年3回戦・岡山学芸館戦で記録して以来。9イニング中8イニングで得点を記したのは、松商学園が17年1回戦・土浦日大戦で記録して以来。

 《史上最速夏40勝》大阪桐蔭が聖望学園に勝って夏の甲子園大会通算40勝目。県岐阜商を抜いて歴代単独9位に浮上。46試合目での到達はPL学園の47試合を抜いて史上最速。また春夏通算71勝目を挙げ、智弁和歌山を抜いて歴代単独9位に浮上。

 《吉兆の埼玉勢撃破》大阪桐蔭が聖望学園に勝ち、埼玉県勢との対戦は春夏通算4度で全勝。大阪桐蔭は過去2度の春夏連覇年の12年春(浦和学院)、18年夏(浦和学院)にも埼玉県勢を撃破しており、史上初の3度目の春夏連覇に向けて吉兆星と言える。

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