国学院栃木 エース盛永146球完投で夏初勝利 開幕戦始球式“佑樹”から「勇気もらった」

[ 2022年8月7日 04:04 ]

第104回全国高校野球選手権大会第1日・1回戦   国学院栃木10―3日大三島 ( 2022年8月6日    甲子園 )

<日大三島・国学院栃木>完投勝利を挙げた国学院栃木の盛永(撮影・藤山 由理)
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 夏は3年ぶりに一般の観客が入場して開幕。1回戦3試合が行われた。開幕戦では37年ぶり2度目の出場の国学院栃木が、2年生エース・盛永智也投手の3失点完投勝利など、夏の甲子園初勝利を飾った。柄目(つかのめ)直人監督(39)が「1番・中堅」で出場し、4強入りした00年選抜以来の甲子園開幕戦白星の吉兆。また、一関学院(岩手)は、コロナ禍で今春選抜を出場辞退した京都国際に6―5で、延長11回サヨナラ勝ちし、02年以来20年ぶりの夏の甲子園勝利を飾った。

 お手本のようなフォームを、斜め後ろからじっと見守った。憧れの聖地のマウンド。かつての優勝投手が始球式を終え、そっと声をかけてくれた。「頑張ってください」の言葉に、盛永は「勇気をもらいました」と笑った。斎藤佑樹さんに続いて投じた135キロの直球で、104回目の夏の開幕を告げた。

 最速144キロの2年生エース。4回までに3失点も、自身の右前適時打などで4回に同点とすると、一段、ギアを上げた。5回無死満塁のピンチでは、3番・池口奏(2年)を左飛。続く松永陽登(3年)、野口央雅(同)から連続三振を奪った。「今日は(投球でチームを)助けられたと思います」と6回以降は無安打に抑え、146球を投げ抜く完投勝利。夏の甲子園の開幕戦完投勝利は17年の彦根東の左腕・増居翔太(現慶大)以来で、チームに待望の夏初勝利をもたらした。

 栃木大会準決勝では11連覇を狙った作新学院戦で延長10回、160球で完投。翌日の決勝でも先発で100球を投げるなど、2年生らしからぬスタミナを聖地でも披露した。大会直前の1日が17歳の誕生日。平井悠馬主将(3年)からケーキをプレゼントされ、甘い物が大好きという盛永は「リラックスできました」と心身ともに万全の状態で挑んだ。

 開幕戦は、縁のある試合だった。柄目監督が高校時代、「1番・中堅」で出場し4強入りした00年選抜も初戦は開幕戦。指揮官となって初出場した18年選抜も、開幕日の第2試合で勝利を飾っており「選手たちをたくましく思います」と目を細めた。

 これで栃木県勢は夏60勝。2回戦は昨年優勝の智弁和歌山と対戦する。こちらも00年選抜の準決勝、18年選抜の3回戦で敗れた相手。「非常に強い相手だと思います。チャレンジャーとしてぶつかっていきたい」と柄目監督。夢はでっかく。勇気を持って戦うだけだ。(柳内 遼平)

 ◇盛永 智也(もりなが・ともや)2005年(平17)8月1日生まれ、栃木県小山市出身の17歳。小1から小山城南クラブで野球を始める。小山城南中では軟式野球部に所属。国学院栃木では1年秋からベンチ入り。遠投100メートル。50メートル走6秒5。趣味は料理と甘い物を食べること。1メートル80、80キロ。右投げ右打ち。

 ▽国学院栃木の00年選抜 3月25日の開幕戦に登場。13安打を放って10―6で育英(兵庫)を下すと、2回戦の九州学院(熊本)戦では3点差の9回に一挙4点を奪って6―5で逆転勝ち。準々決勝は福島商を3―1で下した。準決勝では智弁和歌山に2―10で敗れたが、春夏通じて甲子園最高成績となる4強に進出した。柄目直人監督は全4試合に「1番・中堅」で出場し、打率.353をマークした。

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