東大エース・井沢 過去6人の超難関へ プロ志望届提出決断 赤門の同門クイズ王・伊沢も期待

[ 2022年6月26日 05:30 ]

東大史上7人目のプロ入りを目指す井沢(撮影・柳内 遼平)
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 今秋のドラフト候補に挙がる東大の最速143キロ右腕・井沢駿介投手(4年)がプロ志望届を提出することが25日、分かった。3年秋のリーグ戦で白星を挙げるなど東京六大学リーグで経験を積んできた赤門のエースが、1919年(大8)の創部から過去に6人しか成し遂げていないNPB入りを目指す。

 住宅街に隣接する都内の東大球場。気温は35度を記録していた。大粒の汗を流しブルペンで40球を投げ終えた井沢は投球を数値化するラプソードのモニターをのぞき込む。感覚と数字を掛け合わせて理想を追求。夢の実現へ努力を惜しまない。

 17年にドラフト7位で日本ハム入りした宮台康平(現ヤクルト)以来、5年ぶりにNPBドラフト対象者となるプロ志望届を提出する。「野球をする上での一つの目標」と定め、努力を重ねてきた右腕は「ここまでやってきて諦めたくない。プロ野球選手と対等に戦いたいという思いがある」と心境を明かす。

 東京六大学リーグの通算成績は31試合で1勝16敗、防御率5・94。胸を張れる数字ではないが、入学時は最速134キロだった直球は143キロまでアップ。今春のリーグ戦では大学No・1スラッガーの早大・蛭間(4年)から直球で空振り三振を奪うなど成長を遂げた。

 「東大のイザワ」といえばクイズ番組の「東大王」で回答者として活躍するタレント・伊沢拓司(28)も有名。昨秋のリーグ戦期間中はツイッター上で「井沢投手応援。」と記すなど“本家”からも期待されている。

 同じくドラフト候補の捕手・松岡泰希主将(4年)とともに挑む大学最後の秋。井沢は「投げた試合は全部勝ちたい。チームとしては最低4勝して最下位を回避したい」と誓う。指名がなければ野球は引退して就職活動に励む予定。札幌南(北海道)の3年夏に受けた模試では東大E判定の結果から1年浪人の末、合格を勝ち取ったガッツマン。大好きな野球を続けるため、再び“超難関”に挑む。(柳内 遼平)

 《元中日・井手監督も期待》東大出身の投手がNPBで勝利投手となったのは、井手峻監督が中日1年目の67年に大洋(現DeNA)戦で救援勝利を挙げたのが最後。投手と外野手で奮闘した10年間の現役生活を「母校の野球をバカにされたくない一心でした」と振り返った。プロで必要な心構えとして「順応して自分を生かすこと」とした。井沢には「他の大学の選手に競り勝てるくらいの投手になって」と期待した。

 ◇井沢 駿介(いざわ・しゅんすけ)2000年(平12)1月6日生まれ、札幌市出身の22歳。青葉小1年から青葉シャークスで野球を始め、青葉中では軟式野球部。札幌南では甲子園出場なし。1年浪人の末、東大理科2類に合格。2年春からリーグ戦ベンチ入り。50メートル走6秒7。遠投100メートル。憧れの選手はパドレス・ダルビッシュ。1メートル80、83キロ。右投げ右打ち。

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