阪神・糸井「とにかく勝ちたかった」満身創痍の先発復帰で2安打1打点 虎戦士よ、その背中に続け

[ 2022年5月12日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神2-3広島 ( 2022年5月11日    甲子園 )

<神・広>8回無死一塁、四球を選んでガッツポーズの糸井(撮影・北條 貴史)
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 阪神・糸井嘉男外野手(40)が11日の広島戦に「6番・右翼」で9試合ぶりに先発復帰し、一時勝ち越しの右前適時打を含む2安打を放った。下半身のコンディション不良から回復途上の奮闘は報われず、広島には1分けを挟んで開幕7連敗の屈辱。2連敗で借金14に後退した。

 先発オーダーに糸井の名前が戻っただけで勇気が増した。4月30日の巨人戦以来、9試合ぶり。見せ場はいきなり訪れた。佐藤輝の右前適時打で1点差を追いついた初回、なお2死一、二塁で打席へ。1ボールからの2球目、九里の外角チェンジアップに目いっぱい腕を伸ばした。バットの先端で拾った打球が右前に弾み、一時逆転を決めた。

 「みんながつないでくれたので、自分も積極的にいきました」

 先発を外れた8試合の間に打席に立ったのは代打の2度だけ。開幕から94打席は佐藤輝の165打席の半分強しかなくても、18打点は佐藤輝の19打点に次いでチームで2番目に多い。得点圏打率・478が示す勝負強さは少々のブランクがあっても、健在だった。

 満身創痍(そうい)は見ていて分かる。先発を外れた理由は「下半身のコンディション不良」。グラウンドに立つ以上、詳細な説明は本人からも周りからもない。もちろん、完全には回復していない。逆転を許した直後の6回2死。九里の内角カットボールを左前に運んで一塁へ走る姿はまだ痛々しく映った。8回は四球を選び、二塁へ進んだ後に代走を送られて交代。懸命に整えた好機は後続の凡退でついえた。

 試合前の打撃練習中には右翼の位置に就いて打球を追いかけて体を慣らした。時折、打球を見送るなど無理はできない。それでも、勝利のために先発復帰へ踏み切った。

 「とにかく勝ちたかった。それだけです。自分のことについては何にも…。みんなで勝てるようにやっていきたいと思います」

 敗戦後も「勝」の言葉を繰り返した。広島には1分けを挟んで屈辱の開幕7連敗。4月27日以来の借金14まで再び後退し、6連勝した一時の勢いは完全に失った。抜け出せない苦境で際立つ猛虎最年長40歳の勇姿。矢野監督は「初回の適時打だってそうやし、もう1本もそうやし、四球もそう。何かを起こしてくれるんじゃないか…というものを持ってる。嘉男が入ると、何か期待が上がる感じが見えた」と奮闘を称えた。糸井の背中に誰か続いてほしい。(石崎 祥平)

 ○…阪神は広島に1分けを挟んで開幕7連敗。同カードでは88年に開幕10連敗して以来で、7連敗以上は今回が2度目。今季広島戦7敗のうち、この日を含めて4試合が1点差。広島戦に限らず、今季の1点差試合は5勝13敗で、勝率・278はリーグワースト。昨季は25勝14敗、リーグトップの勝率・641と接戦に強かった。

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2022年5月12日のニュース