広島・小園、完全復調「今まで迷惑ばかり」千金同点打&V生還 最多タイ貯金7で奪首

[ 2022年5月12日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3-2阪神 ( 2022年5月11日    甲子園 )

<神・広>6回 1死一塁 右中間に同点の適時三塁打を放つ小園(撮影・成瀬 徹)
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 広島の小園海斗内野手(21)が待望の完全復調を遂げた。11日の阪神戦(甲子園)で1点を追う6回に同点の右中間三塁打を放つなど、今季3度目の3安打猛打賞。直後に末包の犠飛で勝ち越しのホームを踏んだ。九里亜蓮投手(30)が7回途中2失点の好投で4月5日の巨人戦以来36日ぶりの2勝目。4連勝のチームは4月18日以来の首位浮上を果たした。

 快音を発した打球は敵地の右中間を深々と割った。1点を追う6回1死一塁で、小園が貴重な同点三塁打。左腕・渡辺が2ストライクから投じた甘いスライダーを逃さず振り抜いた。続く末包の中犠飛で勝ち越しの生還。逆転劇の中心には間違いなく21歳がいた。

 「追い込まれていたので必死に食らいついた。今まで迷惑ばかりかけてきたので返せる時に返したい。しっかり継続していけたら」

 完全復調したと言っていいだろう。4回の先頭で秋山の初球フォークを右前にはじき返すと、8回2死一塁でも湯浅の初球フォークを右前に運んだ。3試合連続のマルチ安打となる今季3度目の3安打猛打賞。打率はようやく2割を超えた。

 思えば長いトンネルだった。元監督で本紙評論家の野村謙二郎氏が「バットの芯に当てるのが非常にうまい」と評するように、直球のタイミングで待ちながらカーブ、スライダーなどの変化球にも対応できるのが最大の長所だ。規定打席に初めて到達し、同・298を残した昨季は小園自身「真っすぐのタイミングで行く中で、変化球は前で…と教えてもらった。少しはできているのかなと思います」と語ったこともある。

 「ボール球を振ったり、ひと振りで仕留められなかった。ただ、打撃は結果が出なくても守備はできていた。そこは成長できているところだと思います」

 懸命な努力が実って暗闇は抜けた。復調を信じて待った佐々岡監督は「左投手からあの打撃。小園が良くなれば流れができる」と歓迎。今季最多タイの貯金7とし、4月18日以来の首位奪還には「まだまだね。1試合1試合」と強調した。

 「打率は2割に乗ったぐらい。自分にはまだまだ甘い部分があると思いますが、ここから(状態を)上げていけるようにやれたら」

 変化球を仕留めた3安打1打点。直曲球にかかわらず間合いが取れる小園本来の姿は戻った。まだ5月。チームの勝利に貢献する時間はたっぷりある。 (江尾 卓也)

 ○…広島が阪神戦に今季1回戦から1分けを挟み7連勝。広島がこのカードで無傷の7連勝以上をマークするのは、88年に10連勝して以来34年ぶり2度目。この日は3―2で下したが、7連勝中3点以下で勝ったのが5試合と少ない得点で連勝を伸ばしている。

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2022年5月12日のニュース