エンゼルス・大谷も驚き!逆打席弾!ノーノー! MVP授賞式後に「カオス」な一夜に12点大勝で貯金10

[ 2022年5月12日 02:36 ]

ア・リーグ   エンゼルス12―0レイズ ( 2022年5月10日    アナハイム )

<エンゼルス・レイズ>3回、ウォーラクの3ランに驚いた表情の大谷(撮影・光山 貴大)
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 大谷翔平投手(27)が所属するエンゼルスは10日(日本時間11日)、レイズ戦に18安打12得点で快勝。リード・デトマーズ投手(22)が今季メジャー初の無安打無得点試合を達成すれば、大量リードの8回に右打者のアンソニー・レンドン内野手(31)が左打席で一発を放った。試合前に大谷の昨季ア・リーグMVP授賞式が行われたメモリアルデーは、文字通り記憶に残る一戦になった。

 通算100号にあと2メートルという右越え打で二塁に到達した大谷が一瞬、けげんな表情を浮かべた。視線の先にいた、次打者のレンドンの頭には左打者用のヘルメット。8回。大量リードで登板した外野手・フィリップスの低めのスローボールをすくい上げると、打球は右中間席に消えた。

 「彼はよくやるんだよね。ベンチ裏のケージでは、よく左で打っている。野球界はこんな瞬間を待っていた」

 ジョー・マドン監督がそう振り返ったメジャー10年目、4529打席目で初めて左打席に立ったレンドンの4号2ラン。当の本人は「打撃コーチたちが素晴らしかった。彼らは室内でボールを投げてくれる。そういうことが成績に反映されるんだ。つまりそういうこと」と左打席で打ったことをけむに巻いた。本塁で迎えた大谷もおどけた表情を見せた衝撃の一打に、本拠は沸き返った。

 クライマックスは直後の9回だ。左腕デトマーズが、2死から1番・ディアスを遊ゴロに打ち取り、ノーヒットノーランを達成した。昨年8月にデビューしたばかりでこの日が11試合目の先発。1四球、2三振で球団の単独投手では12年のジェレド・ウィーバー以来10年ぶりの快挙となった。「夢見心地。起きたことが信じられない。外野まで追いかけられて、ロッカーでは祝杯を挙げる。それが今日の思い出のほとんど」と22歳は感慨ひとしおだった。

 試合前に大谷の昨季ア・リーグMVP受賞を祝うセレモニーが開催された。スピーチなどもないまま、試合がスタートしたが、大谷の偉業を祝うようなお祭り騒ぎになった。トラウトが2発、レンドンの左打席弾、そしてノーノー。大リーグ公式ツイッターが「This game is Madness(この試合は狂気だ)」と投稿し、別のメディアは「カオス(混沌=こんとん)」と表現した。

 思い出に残る3連勝で、貯金は18年4月14日以来4年ぶりの2桁10に到達。14年以来8年ぶりのポストシーズン進出へ、勢いはさらに加速した(笹田 幸嗣通信員)。

 《日本でも“スイッチ”》日本のプロ野球でもスイッチヒッターではない打者が、逆の打席に立った例がある。84年7月4日には左打ちのロッテのリーが西武戦の7回に、左腕・永射に対して右打席に立ち一ゴロに倒れた。リーは永射との通算対戦打率・153と苦手にしていた。また、03年9月20日の西武―近鉄戦では一打逆転の好機だった延長11回1死二塁から、西武のカブレラが右腕・愛敬に対し左打席へ。敬遠策を察知した「抗議」の意味で、近鉄の左翼手ローズが怒鳴り声を上げる騒動に。結果は敬遠だった。

 《仕事人レンドン復調気配》レンドンはナショナルズ時代の19年にナ・リーグ打点王に輝き、ワールドシリーズ制覇に貢献。20年からエ軍に加入したが、本来の力を発揮できず昨季は8月に右股関節を手術した。「移籍して2年はフラストレーションのたまることが多かった」と今季は復調の兆しを見せ始めている。

 14年のワシントン・ポスト紙の取材には「野球は見ない。長くて退屈だから」と答えている。家族とも「野球の話題はしない」というルールを結び「野球と私生活は別」というポリシーを貫く。恥ずかしがり屋で、メディア対応は得意ではないが「今は(チームに)新鮮な空気が流れている。良いスタートを切った。毎日これを続けていけるか。そこだよね」と「仕事」を全うする気持ちは人一倍、熱い。

 《大谷の背中追うデトマーズ》今季、先発ローテーションの6番目の枠を勝ち取ったのがデトマーズ。同僚の大谷を最も尊敬する選手に挙げ「僕とは違うタイプの投手だけど、ウオームアップの仕方や打者への攻め方、緩急の使い方など学ぶことがとても多い」と話す。

 20年にルイビル大からドラフト1巡目(全体10番目)指名で入団。昨季は5試合に登板してメジャー初勝利をマークした。今季はオープン戦で好投し、ローテーションに食い込んだ。大谷とは意識的に毎日話すようにしているという2年目左腕。「みんな知っていると思うけど、彼は何も恐れていない。ただ、自分の仕事に集中していて、毎日ベストを尽くしている」。技術だけではなく、大谷からは野球への愚直な姿勢も学んでいる。(柳原 直之)

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