【石井一久 クロスファイア】投手にマメ続発 拭えぬ飛ぶボール疑惑

[ 2017年7月19日 11:00 ]

ドジャースの新人・ベリンジャー内野手(AP)
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 メジャーは記録的ペースで本塁打が量産されており、「飛ぶボール論争」が湧き起こっている。コミッショナーは「ボールは変わっていない」と主張しているが、今季、メジャーの投手たちに起きている、ある現象を見ると、やはりボールは昨季までと違うのではないかと疑ってしまう。

 ジャイアンツは今月15日、エースのクエトを故障者リストに入れた。原因は、右手親指などにできたマメ。このほか、ブルージェイズのストローマン、レッドソックスのプライス、メッツのシンダーガードも、同じ症状で離脱を経験した。クエトは「マメができたのは野球人生で初めて。それはボールが今までと違うからだ」と話したそうだ。投手の指先というのは非常に繊細で、普段できないマメができたということは、ボールが硬くなったのだろう。ボールが硬いと、バットに当たった時の反発力が増すので、当然、打球は飛ぶ。

 そうなると、打者のアプローチも変わってくる。叩くよりも、ややアッパー気味にボールをバットに乗せるようにしてフライを上げる打ち方。今季、ルーキーながらリーグ2位の26本塁打を放ち、ブレークしているドジャースのベリンジャーが、その代表例だ。

 投手にとっては、受難のシーズンだ。まともに力勝負を挑んでもボールの力だけでは押し切れないからだ。投手の防御率が軒並み下がっている中、例年と同じような成績を残しているのが、ナショナルズのシャーザー(防御率2・01)とドジャースのカーショー(同2・18)で、突出している。共通するのは、超一流の変化球を持っていること。ボール球を振らせることで、ストライクゾーンを広げられる投手が成功しているといえる。

 ちなみに、僕がメジャーでプレーしていた2000年代前半は、筋肉増強剤などの薬物の判断基準がまだ甘い時代で、やはり「打高投低」だった。メジャーの歴史を振り返っても、トータルで見れば、打者にいいことの方が多いような気がするのは、僕だけだろうか…。(スポニチ本紙評論家)

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2017年7月19日のニュース