正義フィーバー幕開け 12球団45人スカウト集結

[ 2016年4月6日 05:30 ]

<杏林大・創価大>力投する創価大・田中正義

東京新大学野球 創価大8―3杏林大

(4月5日 県営大宮)
 東京新大学野球の春季リーグが5日開幕し、今秋ドラフト最大の目玉に挙がる創価大・田中正義投手(4年)が杏林大との開幕戦に先発。7回に失点し、リーグ戦の無失点記録は56回で止まったが、9回4安打3失点、12奪三振で完投勝利を飾った。スタンドには国内全12球団のスカウト計45人が集結。大注目の中、最速156キロ右腕の学生ラストイヤーが幕を開けた。

 異様な光景だ。バックネット裏のスタンド席を占めたのは、国内全12球団、計45人のスカウト陣。スピードガンやビデオカメラを手に、田中の一球一球に熱い視線を送った。ドラフトイヤーの公式戦初戦。実力通りの結果で応えた右腕は淡々と試合を振り返った。

 「個人的には70点。勝ったので何でも良い。(スカウトの数は)特に何も思わなかったです」

 初回からこの日最速の151キロを計測し、6回まで完全投球。7回先頭に初安打となる投手強襲安打を許すと、1死一、三塁から失策が絡み、リーグ戦57イニングぶりに失点した。3年春から継続していた無失点記録は途絶えたが、マウンドで岸雅司監督から「記録じゃない。勝てばいい」と声を掛けられ、後続を断った。

 栄養学を独学で学び、チーム内で講義を開くほど超ストイックな男だ。母・鈴香さんからおかずを送ってもらい、寮の冷凍庫の「正義スペース」に常備。「練習を全て力にしたい」と揚げ物などは口にせず栄養を管理する。2月上旬に右肩に張りを訴えたものの開幕に間に合わせ、志願して完投。4安打3失点、12三振を奪い「完投できたことは凄く意味がある。(無失点記録は)全く意識してない。チームが勝つ投球が第一」と話した。

 ドラフトの超目玉であることを示すように、巨人とソフトバンクは7人態勢。球団のスピードガンで152キロを計測した巨人の山下哲治スカウト部長は「大学生では上原以来の先発完投型の大型右腕。ローテーションの軸になれる」と絶賛し、ソフトバンクの小川一夫編成育成部長兼スカウト室室長は「今年のドラフトは田中君を中心に回るという確認ができた。完成度が高い」とうなった。阪神は和田豊オーナー付シニアアドバイザーが初めて視察に訪れた。

 田中はテレビカメラ5台、約40人の報道陣の前で宣言した。

 「今年は日本一を目標に掲げている。まずはリーグ優勝に向けてチーム全員でやっていきたい。自分が投げた試合は全部勝てるようにしたい」

 アマチュア球界の至宝が、大きな野望を胸に大学ラストイヤーを駆け抜ける。(青木 貴紀)

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