藤浪祭だ!打って走って投げて巨人粉砕0・5差

[ 2016年4月6日 05:55 ]

<巨・神>2回無死一塁、高山の右前打で、一塁走者・藤浪は三塁に滑り込む

セ・リーグ 阪神8-2巨人

(4月5日 東京D)
 阪神・藤浪晋太郎投手(21)が5日の巨人戦(東京ドーム)で8回2失点の力投を披露して、今季2勝目を挙げた。バットでも初安打、走塁では勝ち越し点につながる好走塁を見せるなど、14年から6連敗中と「鬼門」とされてきた敵地で躍動。超変革の先頭を走る右腕が永遠のライバルの前に仁王立ちした。3連勝で首位・巨人に0・5差。きょう勝って首位に立つ。

 マウンドだけが“舞台”ではない。快音と快足で、藤浪のショータイムが幕を開けた。同点の3回に巡ってきた第1打席。先頭打者でポレダの直球を右前に運び、今季初安打をマークすると、高山の右前打で一気に三塁へ。素早いスライディングで間一髪セーフとなり、続く横田の投手内野安打で勝ち越しのホームを踏んだ。

 「(ヒットは)良いところに落ちました。(三塁への走塁は)正直、(三塁コーチに)回されると思ってなかったので、ベースの踏み方がおかしかったですけど…。投手が塁に出ること、走ることで流れが変わる。しっかり走ってセーフになれて良かった」

 投手の積極的な打撃、走塁を推奨してきた金本監督も「投手があそこまで(やってくれたらね)。しっかり打つ意識と走る意識を持っていることが素晴らしい」と最敬礼。指揮官の掲げる超変革野球を、若きエースが見事に体現してみせた。

 投げては、8回2失点。自身6連敗中と鬼門になっていた敵地のジンクスを打破した。「いろんな球種をうまく使えた。まっすぐは厳しいなと思ったので」。初回に直球を痛打され、変化球主体に配球を変えた梅野のリードに応え、フォーク、カットボールを低めに制球し、的を絞らせなかった。

 1年間戦うことの難しさを痛感し、新たな目標を見据えた夜があった。右肩関節炎の影響で投球練習を完全封印していた昨年の秋季キャンプ。ある夜、チームメートと入った飲食店にあったテレビ画面には、侍ジャパンの強化試合に投げる日本ハム・大谷の姿が映っていた。本来ならシーズンを終えている期間に150キロを連発する姿に思わず「大谷、すごいな…」とつぶやいた。

 「この時期まで試合で全力で投げて、150キロ超えを何球も投げましたからね。今(昨秋時点)の自分の肩の状態では、考えられないんで…。(元広島の)マエケンさんも、シーズンであれだけのイニングを投げられても、代表で投げられているので凄い。こういうところで差は感じる」

 昨年はキャリアハイの成績を残した一方で、シーズン終盤はキャッチボールでも激痛が走る日があるほど、右肩は悲鳴を上げていた。だからこそ、シーズン終了まで、全力で腕を振る自身を思い描き、オフも厳しいトレーニングを課した。

 「満足することなく、次につなげていきたい」

 シーズン2戦2勝の好発進も、ゴールはまだ先にある。悔しさのにじんだ秋を今年は笑って過ごすため、藤浪は全力疾走をやめない。(遠藤 礼)

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2016年4月6日のニュース