孝行息子だ!18歳釜田、プロ初完投でG戦連敗止めた

[ 2012年6月18日 06:00 ]

<楽・巨>9回2死一塁、小笠原を左飛に抑え、1失点完投勝利を挙げた釜田

交流戦 楽天2-1巨人

(6月17日 Kスタ宮城)
 18歳の新人右腕が杜の都で最高の輝きを放った。楽天・釜田佳直投手(18)が17日、巨人を相手に5安打1失点でプロ初完投勝利。無傷の3連勝を飾った。高卒ルーキーの巨人戦初登板での完投勝利は、87年の中日・近藤真一以来25年ぶり。チームの巨人戦連敗も8でストップ。「打倒巨人」に闘志を燃やす星野仙一監督(65)も楽天監督に就任以来巨人戦初白星となった。父の日に快投を演じた孝行息子。今やチームに不可欠な存在だ。
【試合結果】

 18歳は重圧を楽しんでいた。1点差。9回に備えたベンチ前のキャッチボールで釜田は笑っていた。9回1死、高橋にこの日最速の147キロをマーク。代打・村田を直球で中飛、小笠原も4球全て直球で左飛と、強力打線を力でねじ伏せた。

 「技術じゃない。終盤は気持ちを前面に出した。前半は(相手は)テレビで見ていた打者だと思ったけれど、中盤以降はジャイアンツだろうがどこだろうが抑えてやろうと思った。完投する気でした」。強気なコメント。まるで闘将・星野監督のようだ。父の日。「ウイニングボールをプレゼントしたい」と話すと、笑顔で目を輝かせた。

 中1の時に球団の先輩・田中と日本ハム・斎藤の甲子園決勝での延長15回の投げ合いに魅せられ、投手に転向。それまでは捕手だった。小学生の時に観戦した東京ドームで買ったのは巨人・阿部のユニホーム。父・茂さん(45)は「特定の好きな球団はなかった。神宮だったら古田さんのを買ったかも」と話す。

 その特別な存在だった4番・阿部との対戦も冷静だった。6、9回とフォークで二ゴロに仕留めるなど3打数無安打。「阿部さんの時は考えて投げた。読んでくると思ったのでうまく打たせられた。次は堂々と直球で押したい」。今度は自身のスタイルを貫いて抑える。18歳はそう宣言した。

 高卒新人では08年のロッテ・唐川以来の無傷の3連勝。最速153キロの直球にスライダー、フォークも一級品だが、それだけではない。逆球が目立った5回に1点を失ったが6回から修正。勝てる理由は対応能力の高さだ。この日も内野ゴロ12個は全て引っ掛けさせた当たり。「もともときれいな直球は投げない。ツーシームを多く投げた」。相手の手元で球を動かし、巧妙にバットの芯を外した。前日に交流戦Vを決めた巨人を手玉に取った。そして、前回対戦で無安打無得点の屈辱を許した杉内にも投げ勝った。

 「すげえヤツだな。(試合途中で)最後まで勝負をつけてこいと言った」。巨人戦の連敗を8で止めた孝行息子。めったに選手を褒めない星野監督も大絶賛だ。楽天の投手で巨人戦で完投勝利を挙げるのは08年6月15日(Kスタ宮城)の岩隈以来。その岩隈の背番号21を継承した18歳の望みは高い。「次は完封を目指します!」。お立ち台で大歓声を浴びた表情は、りりしかった。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ 気持ちが出ていた。変化球でストライクが取れていたしね。向こうが合っていなかったし、最後は代える勇気がなかったよ。

 ▼楽天・小山桂 豪快に投げてくれるのでリードが楽しかった。

 ◆釜田 佳直(かまた・よしなお)1993年(平5)10月26日、石川県生まれの 18歳。金沢では1年春からレギュラーとなり、同年秋からエースを務める。3年時に春夏連続甲子園出場。春は1回戦、夏は3回戦で敗退。甲子園通算成績は34イニングを投げ40奪三振、防御率1・32。11年 ドラフト2位で楽天入団。1メートル77、78キロ。右投げ右打ち。

 ≪G戦初登板完投勝利は25年ぶり≫高卒ルーキーの釜田(楽)がプロ初完投で3勝目を挙げた。高卒新人で初登板から無傷の3連勝は08年唐川(ロ)以来。また、高卒新人の交流戦3勝は同じ楽天の07年田中(3勝1敗)と並ぶ最多タイで3連勝は釜田が初めて。ドラフト制後、巨人戦初登板で勝利を挙げた高卒新人は08年由規(ヤ)以来9人目。完投勝利は87年に近藤真一(中)がプロ初登板でノーヒットノーランを達成して以来、25年ぶり2人目となった。

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