福島の“特別な夏”開幕!「相双連合」絆を力に…

[ 2011年7月14日 06:00 ]

元気いっぱいにしっかりと行進する相双連合ナイン

福島大会開会式

(7月13日 開成山)
 第93回全国高校野球選手権大会(8月6日から15日間、甲子園)の地方大会は13日、福島など4大会が開幕。27大会で234試合が行われた。福島第1原発事故の収束が見えない中、福島大会は87チームによる熱戦がスタート。双葉翔陽、富岡、相馬農の3校による「相双連合」も開会式で元気に行進、14日に初戦を迎える。大分大会では9日にバス事故で重光孝政監督(享年44)が亡くなった森が初戦突破した。14日は岩手など5大会が開幕、28大会230試合が行われる。

 「相双連合」――。チーム名がアナウンスされると、開成山球場のスタンドから大きな拍手が湧き起こった。遠藤主将は「鳥肌が立った。福島の皆さんに応援されている実感が湧いた」と興奮気味に振り返った。

 福島第1原発事故の影響で部員が減少した双葉翔陽、相馬農、富岡の3校で結成された合同チーム。5月29日の初練習以来、全体練習は週1回のみ。そんな中で必死にチームワークを磨いてきた。入場行進は放射線の影響を考慮し外野から内野へ歩くだけに短縮。ユニホームはバラバラながら、「相双」と書かれたそろいの帽子をかぶって堂々と胸を張って歩いた。

 行進中には、スコアボードに各校のメッセージが映し出された。双葉翔陽は「心を1つに~ONE FOR ALL ALL FOR ONE~」。遠藤は「連合チームだから周りとのつながりが大事。チームワークは負けない自信がある」と力を込めた。相馬農によるメッセージは「がむしゃらにプレーする!雑草魂」で、同校の八巻は「1勝でも多く勝てるよう、チーム一丸となって頑張る」と誓った。富岡は「富岡町の人達のために全力でプレーします」。同校からただ一人、チーム入りした中村は「富岡の名を背負って戦いたい」と決意を口にした。

 放射線の影響が懸念される中での開幕。連日、各球場では放射線量を測定し、国の安全基準である毎時3・8マイクロシーベルトを超えると中止になる。この日は中堅付近で毎時2・2マイクロシーベルト。試合は予定通り行われたが、例年とは違う「特別な夏」となる。

 全国的にも注目を集める相双連合の戦い。2日には茨城・高萩清松との練習試合で7―6の初勝利を収めた。「打撃には自信がある。夏の1勝で恩返しする」と遠藤。14日。歴史的な夏1勝へ、喜多方と対戦する。

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2011年7月14日のニュース