“元阪神助っ人の息子”P・フィルダーがMVP

[ 2011年7月14日 06:00 ]

オールスター戦4回、逆転3ランを放ったブルワーズのフィルダー

MLB球宴 ナ・リーグ5―1ア・リーグ

(7月12日 フェニックス)
 大リーグは12日(日本時間13日)、第82回オールスター戦が行われ、ナ・リーグが5―1で勝利した。MVPは4回に逆転3ランを放ったブルワーズのプリンス・フィルダー内野手(27)。過去3度の出場経験がある元阪神の父セシル氏も成し遂げられなかった栄冠を手にした。昨年に続き勝利したナ・リーグがワールドシリーズの本拠地開幕権を獲得し、通算成績を42勝38敗2分けとした。

 豪快な一振りで大ブーイングを鎮めた。1点を追う4回無死一、二塁。左腕ウィルソンのカットボールが甘く入ってくると、125キロの巨漢フィルダーは迷うことなく強振した。すくい上げた打球は高い放物線を描き、中堅左に飛び込んだ。逆転3ランに4万7994人の満員の観衆は一斉に立ち上がった。

 「勝利を楽しめたし、子供にもいいところを見せることができた。何より、ワールドシリーズの開幕権を手に入れたことがうれしい」。ブルワーズの選手としては球宴史上初の本塁打。3度目の夢舞台は忘れられない一日となった。

 ナ・リーグの主将を務めた前日の本塁打競争で、地元ダイヤモンドバックスのアップトンをメンバーに指名しなかったことで、ブーイングの標的となった。だが「本塁打を打てば観客の感情を変えられるだろうと思った」と涼しい顔。最後は大声援に変わり、会見場で同席した6歳の息子ジェイデンくんに「あの一発は気に入った」と言われると、表情を崩した。

 89年に阪神でプレーし、メジャーに復帰した後は2度の本塁打王に輝いたセシル氏を父に持つ。年間50本塁打を放った07年には、今でも12組しかいない親子での球宴出場を果たした。ただ04年にギャンブルで失敗したセシル氏が、息子の契約交渉で契約金の一部を要求したため絶縁状態が続いている。この日も会見で父親の質問が飛ぶと、横にいた2人の息子を気遣いながら「自分は息子たちのためにベストを尽くしたい。そこに父との関係は持ち込みたくない」とキッパリと言った。

 今季は前半戦で22本塁打、72打点をマーク。今季が契約最終年で、オフは父親が在籍していたヤンキースなど複数球団での争奪戦が予想されている。自らの去就については「ワールドシリーズのトロフィーを手にしてから考えたい」と封印した。現在チームは首位。96年に世界一を獲った父を完全に超えるためにも、ブ軍で世界一を目指す。

 ≪父は息子の移籍を予告≫セシル氏は今オフの息子の移籍を予告している。6月29日付のニューヨーク・デーリー・ニューズ紙の取材には「ヤンキースではなくメッツと契約する可能性はある。ドジャース、エンゼルスも候補」と語った。同氏は08年に独立リーグで監督を務め、現在はセミプロを対象としたサマーリーグの相談役として活動。息子との関係に関しては「お互い沈黙」とほとんど話さないというが、動向は常に気にしているようだ。

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