地元も大拍手「いい試合だった」「ありがとう」

[ 2011年3月29日 06:00 ]

東北高泉キャンパスで声援を送る地元住民や生徒ら

第83回選抜高校野球 東北0―7大垣日大

(3月29日 甲子園)
 甲子園に駆けつけることができなかった東北の生徒たちも、被災地の地元から声援を送った。東北高泉キャンパス(仙台市泉区)では、食堂に3台のテレビを設置。生徒や教職員、地元住民ら約100人が集まり「がんばれ東北 負けるな震災」などと記したボードを掲げて試合を見守った。

 甲子園で応援演奏する予定だった音楽部部長の成沢花菜さん(17)は「野球部員の姿を見て元気を出してくれる人がいると思う」。9歳の孫や友人と応援した鳴嶋雄策さん(85)は、選手らが水の配給などを手伝ってくれたことに感謝を示し「運動選手らしく、気持ちが良かった。いい試合だった」と拍手。敗戦が決まると目に涙を浮かべる人もおり、「よく戦った」「ありがとう」と称える声が相次いだ。

 ≪避難所でも熱い声援≫宮城県内各地の避難所でも、多くの被災者がテレビに見入った。津波などで大きな被害を受けた気仙沼市では、同市総合体育館前の広場でパブリックビューイングが実施され、約50人がテレビ観戦。160インチの大型モニターに映し出される選手が安打を打ち、好守を見せるたびに大歓声が湧き起こった。自宅が津波で流されてしまったという70歳の男性は「最後まで諦めないで頑張ってくれた。自分たちも諦めずに頑張っていきたい」と話した。このほか、仙台市でも宮城野区、若林区などの避難所で多くの人がテレビ観戦。南三陸町の歌津中学校では大画面モニターが設置されたが、電波を受信できず中止になった。

 ≪枝野官房長官「勇気づけられた」≫枝野幸男官房長官は午前の記者会見で、東北の戦いぶりに「頑張っている姿を発信していただき、被災地の皆さんにとってはもちろん、私としても大変勇気づけられ感謝している」と述べ、健闘を称えた。同氏は東北大出身で「仙台に長く住んだので大変気になっていた」という。敗退したものの「官房長官室のテレビで、ショートの選手が三遊間の難しい当たりをアウトにするところをたまたま見た。厳しい状況の中で元気にプレーしている瞬間を確認することができた」と話した。

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