神港、育英の部員も…満員アルプス、友情の大声援

[ 2011年3月29日 06:00 ]

「がんばろう東北」など応援ボードが掲げられた東北応援席

第83回選抜高校野球 東北0―7大垣日大

(3月28日 甲子園)
 感動をありがとう――。東北ナインへの拍手はいつまでも鳴りやむことはなかった。震災の影響で学校が応援団の派遣を見送り、一時は空席も懸念された。しかし、三塁側アルプス席は超満員となる5200人の大応援団で埋め尽くされた。

 地元・宮城県からは学校関係者、OBら約1000人。このほかスタンドには兵庫県の高校14校から476人が友情応援に駆けつけた。その中には16年前、東北と同じ境遇にあった神港学園と育英の野球部員の姿もあった。31日に兵庫県春季地区大会の初戦を控える中で参加した神港学園の鳩川琢磨主将(3年)は「選手は野球ができる喜びを感じながらプレーをしてるように見えました」と声をからして応援した。敗れた東北ナインをアルプス席で迎える部員の目は潤んでいた。

 95年の阪神大震災。甲子園には地割れが発生した。約2カ月後に開催された95年のセンバツ。被災した地元の育英、神港学園、報徳学園の3校は全国各地からの支援を受けて出場にこぎつけた。今度は東北のために少しでも力になりたかった。

 神港学園の北原光広監督は、くしくも16年前のセンバツ1回戦で同じ宮城の仙台育英と対戦。その時のウイニングボールを手に観戦し「現役の彼らに助け合いの精神はこうなんだよというのを見てほしかった」と当時の記憶と重ね合わせた。阪神大震災で自宅が半壊した育英の葉坂良一監督も「震災の大変さは選手も親から聞いたりしてるだろうけど、同じ空気の中で共通の思いを感じ取ってもらいたかった」と参加の意義を強調した。

 友情応援は地域を超えた広がりも見せた。自動車ディーラーのネッツトヨタ京華の長井貴裕社長は、東北とは無縁ながら「力になりたい」と11台のバスを提供して参加者を募り、500人を動員。「がんばれ!東北 がんばろう!日本」のメッセージ入りの旗も1000本用意した。このほか関西宮城県人会の応援部隊には近隣の岩手、福島からも集まった。
 アルプス席で結集されたみんなで支え合う力。その思いは間違いなく選手の心に響いたはずだ。 

 ▽95年センバツの兵庫県勢成績 1月の阪神大震災で被災した兵庫県から育英、神港学園、報徳学園の3校が出場。育英は創価(東京)に6―2、神港学園は仙台育英(宮城)に4―3、報徳学園は北海(北海道)に4―3で勝っていずれも初戦突破した。育英、報徳学園は2回戦で敗退したが、神港学園は8強入りした。

 ≪九州国際大付も友情応援≫アルプス席の一角では第2試合に出場した九州国際大付(福岡)の約170人も友情応援。バス6台で乗り込んだ部員やチアリーダーたちは「がんばろう!東北」とメッセージを記したボードをグラウンドに掲げて東北ナインを鼓舞。控え部員の北野紘地(3年)は「東北にはハンデがあるけど、最後まで頑張ってほしい」と声を張り上げていた。

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