【スノボ女子ビッグエア】田中幸が斬る 村瀬心椛が歴史をつくった決勝 オリジナリティーでスタイルを表現

[ 2026年2月10日 08:23 ]

冬季五輪日本の男女同種目アベックメダル
Photo By スポニチ

 村瀬心椛選手は、回転数だけでなく、オリジナリティーで、スノーボードのカッコよさの本質である「スタイル」を表現できたのが、勝因になったと思います。

 大前提として、着地をしっかり決めたのが大きかった。今回の五輪のジャッジは着地に厳しい傾向があります。1440(横4回転)の高回転、トリプルコーク(斜め3回宙返り)を組み合わせた高難度のトリック(技)で、得点になった2本の着地をそろえたのは、村瀬選手だけでした。

 特に1本目は、衝撃に耐えた着地でした。よく立ったな、という印象ですが、着地は気合で立てるものではありません。回転をコントロールできたからこその成功で、バックサイド・トリプルコーク1440の大技を最初に決めたのは、勝負の流れをつくりました。

 今回の五輪は、女子の難度の進化が見られました。4回転を2本そろえないと勝てない。その中で、村瀬選手が金メダルを獲れたのは、回転数だけでなく、オリジナリティーを出すことで「スタイル」を表現できたからだと思います。

 1本目で村瀬選手は、ミュートグラブ(左手でつま先側のボードをつかむ)をしていない右手を後方に伸ばし、さらに「ポーク」(前脚の左脚を伸ばす技)と呼ばれる表現でスタイルを出しました。ポークは「前脚を刺す」とも言われる難しい技ですが、カッコよさを表現するオリジナリティーでジャッジにアピールし、決勝での最高得点だった89・75点につながったと思います。

 さらに、フロントサイド・トリプルコーク1440を跳んだ3本目では、インディグラブ(右手でつま先側のボードをつかむ)をしっかりしつつ、ポークも完璧でした。村瀬選手の唯一無二のオリジナリティーで、高得点を引き出しました。

 銅メダルが確定した状況で、金メダルを狙ってスタートした3本目のプレッシャーは、相当なものだったと思います。スタート前に時間をかけて集中し、難度の高いトリックの着地を決めたメンタルの強さは、素晴らしかった。村瀬選手が歴史をつくった決勝だったと思います。 (プロスノーボーダー、スノーボード解説者)

この記事のフォト

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

スポーツの2026年2月10日のニュース