熱海富士「あーー!」賜杯逃すも自己最多12勝 静岡県出身で戦後初の新三役へ昇進確実

[ 2026年1月26日 05:30 ]

大相撲初場所 千秋楽 ( 2026年1月25日    両国国技館 )

三賞の受賞力士。(左から)殊勲賞の義ノ富士、敢闘賞の霧島、熱海富士
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 またも賜杯に届かず、熱海富士の悔しさを抑えきれない絶叫が花道に響き渡った。「くっそーー!」「あーー!」。貴景勝に敗れた23年秋場所以来2度目の優勝決定戦。立ち合い一瞬ではたかれて敗れた前回と違い、今回は得意の右を差して土俵際まで追い込んだ。戻ってきた支度部屋では「優勝…優勝…」と消え入る声で無念の思いをにじませた。

 本割で欧勝海を下して先に3敗を守り、支度部屋で安青錦の取組を見守った。この時、優勝を争うライバルの負けを声に出して願ってしまった。「誰しも想像するとは思うけど“負けてくれたらな”という心が甘えなのかな。“まだ調子に乗るな”と相撲の神様が教えてくれたのかな」。敗因はわずかな心の隙にあった。

 それでも、確かな成長は示した。半年前から15キロ増の幕内最重量195キロを記録して「太りすぎですね」と自虐していたが「体は動けている」と圧力のある攻めに手応え。飛躍のきっかけをつかんで自己最多の12勝を挙げ、敢闘賞を獲得。来場所は静岡県出身として戦後初の新三役昇進を確実とした。

 仲間の思いも背負って戦った。公私ともに仲が良い付け人の蒼富士は23年秋場所中に大ケガを負い、最初の優勝決定戦に立ち会えていなかった。その付け人がこの日、序ノ口優勝決定戦に出場。「2人とも準優勝でしたね…」。悔しさの中にも、一緒に戦えた充実感がにじんでいた。最多6人の関取衆を抱え、普段から稽古が充実している“チーム伊勢ケ浜”。「みんなで稽古してみんなで強くなっています」。今度こそ千秋楽を笑顔で終えるために、部屋一丸でさらに強くなる。

 ≪県勢初Vお預けも高まる相撲熱≫静岡県は長らく幕内で活躍する力士が不在の時期があった。優勝はなく戦後は三役も輩出していない。サッカー、野球熱が高く、相撲を始める環境に乏しかったという事情もある。流れが変わってきたのは近年。地元の飛龍高が全国屈指の強豪高に躍進。98年に磯部洋之(磋牙司)が高校横綱に輝くと徐々に全国で活躍する選手が増え、団体は全国高校選抜で2度優勝。着実に裾野が広がっている。現在は幕内の熱海富士、翠富士、十両の大青山(中国からの留学生)、幕下にも昨年九州場所で新十両の日向丸や聖富士らが同校出身として名を連ね、相撲強豪県の仲間入りを果たそうとしている。

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