大の里が最速V 初土俵から丸1年7場所目 被災した故郷・石川に届けた!同郷・輪島の「15」超え

[ 2024年5月27日 05:00 ]

大相撲夏場所千秋楽 ( 2024年5月26日    両国国技館 )

大相撲夏場所で初優勝し、賜杯を手に万歳する大の里(中央)
Photo By 代表撮影

 新小結・大の里が関脇・阿炎を押し出し、12勝3敗で初土俵から所要7場所で初優勝した。幕下付け出しでは横綱・輪島の15場所を大幅更新する最速。殊勲賞、技能賞にも輝き、能登半島地震が襲った故郷の石川へ元気を届けた。名古屋場所(7月14日初日、ドルフィンズアリーナ)での成績次第では、横綱・大鵬の6場所(年6場所制の58年以降)を超える新入幕から所要4場所での大関昇進の可能性もある。

 角界の新ヒーロー、大の里は阿炎を押し出すと2度うなずいた。込み上げてくる感情を必死に抑えたが、勝ち残りの土俵下では涙が込み上げてきた。尊富士に続くちょんまげ優勝。「1年前は想像もしていなかった。チャンスをものにできてうれしい」。スピードにバランス、そしてサイズ。本割で敗れれば4人による優勝決定戦にもつれる展開だったが、規格外の能力を発揮しての史上最速優勝だった。

 日体大卒業後の昨年夏場所で幕下10枚目格付け出しデビュー。その一番相撲は現在十両・朝紅龍の突き落としに屈した。そこから1年。高田川審判部長(元関脇・安芸乃島)から優勝旗を受け取る際、一礼をせずに受け取ろうとして一礼をやり直したのはご愛嬌(あいきょう)。角界へ吹かせた新風を象徴した。

 報道陣が待つ東支度部屋へは目を充血させて戻った。館内インタビューでは優勝への意識について「本当にずっとしていました」。ここ3場所加わった優勝争い。今回初めて千秋楽を単独首位で迎え、朝稽古後は「何も気にしてません」。存在すら、否定してきた重圧から解放された。

 前夜、師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)から諭された。「“それ(優勝)が目標じゃないぞ”と。その言葉を頂いて気が楽になった。集中できました」。優勝インタビューで掲げた「強いお相撲さん」。緊張の夜を克服できた金言だった。

 元日に発生した能登半島地震で被災した故郷へ朗報を届けた。2月に地元を慰問し、「知らない人からもたくさん応援されている。力士として土俵の上でいい姿を見せたい」と復興への思いも胸に戦ってきた。夏場所に向け期待が膨らんだ中、4月下旬に20歳未満の力士との飲酒問題が発覚し、日本相撲協会から厳重注意を受けた。「頑張る姿勢を見てもらい、信頼を取り戻す」と反省した通り、土俵上で結果を出した。

 大関獲りを目指す名古屋場所。11勝だった春場所は平幕だったため、審判部は今場所が昇進目安「三役での3場所33勝」の起点との見解を示す。だが、横綱・照ノ富士や元大関・栃ノ心は同じ条件で達成しており、新入幕から所要4場所での昇進の可能性もある。横綱・大鵬の6場所(年6場所制の58年以降新入幕)を超える。「親方の言うことを守って上へ上へと頑張りたい」。輪島超えの次は大鵬超え。規格外の23歳にふさわしい次なる偉業が待っている。

 【大の里 泰輝(おおのさと・だいき)】

 ☆本名 中村 泰輝(なかむら・だいき)

 ☆生まれ 2000年(平12)6月7日生まれ、石川県津幡町出身の23歳

 ☆サイズ 1メートル92、181キロ

 ☆相撲歴 津幡小1年から地元の相撲教室で相撲を始め、卒業後に新潟県の能生(のう)中に相撲留学。海洋高から日体大に進む

 ☆アマ実績 高校1年で高校総体個人戦準優勝。大学1年で全国学生選手権個人優勝。3、4年時に田宮啓司(琴光喜)以来25年ぶりとなる2年連続アマ横綱に輝く。1、4年で国体成年の部優勝など学生13冠

 ☆初土俵 二所ノ関部屋に入門し、23年夏場所で幕下10枚目格付け出しでデビュー。石崎(現朝紅龍)に突き落としで敗れる

 ☆スピード出世 幕下、十両はともに2場所で通過。所要4場所での入幕は遠藤、伯桜鵬の3場所に次ぐ史上3位タイのスピード昇進。所要6場所での三役昇進は昭和以降では逸ノ城(5場所)に次いで2番目に早い

 ☆2桁勝利 新入幕から3場所連続2桁勝利は阿武咲に次いで2人目

 ☆しこ名 大正末期から昭和初期に活躍した小兵の名大関・大ノ里から

 ☆好きな言葉 「信は力なり」。ドラマ「スクール☆ウォーズ」から

 ☆家族 両親と妹

 ☆趣味 部屋の周辺を散歩。寺社巡り

 ☆得意 右四つ、寄り、突き、押し

 【大の里Vアラカルト】☆小結 18年九州場所の貴景勝以来、9人目。新小結優勝は57年夏場所の安念山以来67年ぶり。

 ☆二所ノ関部屋 玉錦、佐賀ノ花、玉乃海、大鵬、金剛に次いで6人目。元横綱・稀勢の里の現師匠が22年12月に荒磯部屋から名跡変更して以降では初。

 ☆日体大 初。学生相撲出身は先場所の尊富士(日大)以来。

 ☆新入幕からの所要場所 3場所は新入幕Vの両国(1914年夏場所)、尊富士に次いで2位タイ(鶴ケ浜、佐田の山と並ぶ)。

 ☆石川県 輪島(14回)、出島(1回)に次ぐ3人目。

 ☆付け出し 輪島(幕下60枚目格)の15場所を抜いて最速。

 ☆初優勝 尊富士に次いで119人目。

続きを表示

「羽生結弦」特集記事

「テニス」特集記事

2024年5月27日のニュース