体操女子新エース・宮田笙子 五輪決め表彰台で夢破れた仲間思い涙 昨年亡くなった恩師を思い、また涙

[ 2024年5月19日 04:35 ]

体操 NHK杯第3日 ( 2024年5月18日    群馬・高崎アリーナ )

<体操NHK杯第3日>優勝した宮田笙子(右)は杉原愛子と抱き合う(撮影・小海途 良幹)
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 パリ五輪最終選考会を兼ね、女子個人総合2回目が行われ、宮田笙子(19=順大)が合計217・162点で3連覇を達成し、初の五輪出場権を獲得した。4月の全日本選手権での得点を持ち点に2日間演技し、この日は4種目合計でトップの54・299点だった。代表に決まった5人全員が初出場となるのは84年ロサンゼルス五輪以来。平均年齢17・6歳の最年長として、64年東京五輪以来14大会ぶりとなる悲願の団体メダルを目指す。

 五輪代表として表彰式の壇上に立つと、やっと実感が湧いた。優勝した宮田が周りを見渡すと夢破れた仲間たちの姿があった。「自分が頑張らないと、という気持ちになった。いろんな人の思いをつなぎたい」。目に涙があふれた。昨年10月には競技生活を支えてくれた恩師の小竹英雄さんが亡くなった。「いろんな思いがあったからこそ乗り越えられた」。クールなエースが、また泣いた。

 大会直前に左内転筋を痛め、演技するごとに激痛が襲った。それでも、1種目目の跳馬で全体トップの14・300点。その後も首位を守り続けた。最終演技者となった床運動はターンでよろけ、難度が落ちた。それでも大過失なく終えたのは意地。「(五輪の)団体決勝のつもりで臨んだ」。強い覚悟が、宮田を支えていた。

 21年東京五輪後に現れた新エース。04年アテネ五輪男子団体金の冨田洋之らを育てた福井・鯖江高の田野辺満監督に才能を見いだされ、中学3年の時、京都から鯖江を拠点に移した。21年7月からは母とアパートで2人暮らし。祖母の地元・愛媛から取り寄せた麦味噌を使った手料理をパワーに進化し、22年世界選手権に初出場。4月全日本選手権初優勝で自信を深めた。

 名前の由来は管楽器の「笙(しょう)」。「みやびな音色で、天から差し込む光という意味もある」と両親の願いが込められている。「団体メダルに貢献したい。最年長のお姉さんとして、ついてきたいと思ってもらえる存在でいたい」と宮田。全ての種目をハイレベルにこなす万能型の新エース。体操ニッポンの希望の光が、花の都で輝きを放つ。 (大和 弘明)

 ◇宮田 笙子(みやた・しょうこ)2004年(平16)9月21日生まれ、京都府出身の19歳。鯖江高―順大。22年世界選手権の平均台で銅メダル。東京五輪後に現れた新エース。天性のバネを持つ万能選手の趣味は「お寺巡り」。1メートル51。

 ◇岸 里奈(きし・りな)2007年(平19)9月23日生まれ、埼玉県出身の16歳。通信制の北海道・クラーク高2年。23年世界選手権で初代表となった急成長株。床運動でのダイナミックさが武器。ドラマ「六本木クラス」好きのインドア派。1メートル49。

 ◇岡村 真(おかむら・まな)2005年(平17)5月28日生まれ、三重県出身の18歳。三重・暁高出、四日市大1年。昨年の杭州アジア大会で平均台金メダル、個人総合銀メダル。「平均台のシンデレラ」の異名を持つ。1メートル47。

 ◇中村 遥香(なかむら・はるか)2008年(平20)5月18日生まれ、大阪府出身の16歳。大阪・相愛高1年。昨年の世界ジュニア選手権で個人総合金メダル。段違い平行棒ではD難度の大技「ナカムラ」を持つ。1メートル43。

 ◇牛奥 小羽(うしおく・こはね)2004年(平16)8月17日生まれ、愛知県出身の19歳。愛知・名古屋経大市邨高出、日体大2年。昨年の杭州アジア大会で団体総合銀メダル。指導を受ける21年東京五輪床運動銅メダリスト・村上茉愛コーチの後継者。1メートル48。

《杉原3大会連続ならず 補欠として同行》
 ○…昨年現役復帰した24歳の杉原(TRyAS)は5位で、3大会連続五輪出場はならなかった。パリ切符の上位4人に入れず、チーム貢献度で決まる1枠にも選ばれず。16日に落下した段違い平行棒で再び落下し「めっちゃ悔しい」と号泣した。それでも補欠として同行が決まり「常に前向きに取り組みたい」と話した。貢献度の1枠には跳馬3位の牛奥(日体大)が滑り込み「今までで一番と言える跳躍だった」と胸を張った。

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