【玉ノ井親方 視点】琴ノ若が今日勝ったことで昇進の声が出る可能性は大いにある 霧島の綱獲りは厳しく…

[ 2024年1月27日 20:23 ]

大相撲初場所14日目   ○琴ノ若(寄り切り)霧島● ( 2024年1月27日    両国国技館 )

琴ノ若(左)に寄り切りで破れる霧島(撮影・村上 大輔)
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 霧島は琴ノ若に立ち合いで2度も突っかけられ、少し冷静さを欠いてしまったようだ。立ち合いをうまく成立させるには、両者が呼吸を合わせる必要があるため、3度目は自分も合わせなければと思ったのだろう。もろ手でフワッと立った感じになった。

 本来なら当たってすぐに前まわしを取りに行くべきだったが、威力のない当たりになって、それができなかった。それでも相手が動いてきたら、横に食らいつこうと思っていたのかもしれない。しかし、琴ノ若はそれを警戒して動かなかった。

 そのため左喉輪で押し込もうとするも、相手に右からおっつけられ、かわされる。次に右を使って左はずを押すが、それも外されバランスを崩した。直後に体を入れ替えられ、そのまま寄り切られてしまった。

 完全に立ち合い合いのミス。相手の相撲に合わせてしまったのが敗因だ。千秋楽の横綱戦を前にこの1敗は痛い。綱獲りも厳しくなった。花道を引き揚げる時の表情も、張り詰めていたものが切れたように見えた。

 一方の琴ノ若は大きな白星をつかんだ。普通は立ち合いで自分から2度も突っかけたら、集中力が途切れる。だが、すぐに気持ちを切り替え冷静に取り切った。立ち合いで当たった後に慌てて動かず、霧島の出方を探った。みずから動いていなされるよりは、相手を先に動かさせて対応する方が、自分のペースで取れるという判断だったのだろう。それが見事に当たった。

 大関に今日のような勝ち方が出来たということは、精神的にも今までの琴ノ若ではなくなったということ。さらに強く、たくましくなった。

 まだ千秋楽が残ってはいるものの、あす負けたとしても、昇進の声が出てくる可能性は大いにある。

 それでも千秋楽に勝って、それを確実なものにしてほしい。勝てば初優勝のチャンスも膨らむ。
(元大関・栃東)
 

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