宇野「今できる最大限」別格の舞い“今季世界最高”100.45点で首位発進

[ 2022年12月24日 05:06 ]

フィギュアスケート全日本選手権第2日・男子SP ( 2022年12月23日    大阪・東和薬品ラクタブドーム )

演技する宇野昌磨(撮影・長久保 豊)
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 男子ショートプログラム(SP)が行われ、昨季の世界選手権王者の宇野昌磨(25=トヨタ自動車)が非公認ながら“今季世界最高”となる100.45点で首位発進した。初制覇のGPファイナルから中1週間で調整が難しい中でも、経験に裏打ちされた対応力で3年ぶり5度目の頂点へ前進した。宇野と同門の島田高志郎(21=木下グループ)が87.69点で2位、山本草太(22=中京大)が86.89点で3位につけた。

 演技を終えた宇野は、頭をかきながら苦笑いを浮かべた。冒頭の大技4回転フリップを決めたが、4回転のトーループからのコンビネーションが3回転ではなく2回転に。シットスピンでのミスもあり、ステファン・ランビエル・コーチに謝るしぐさを見せた。それでも自身が持つ公認の今季世界最高99.99点を上回る首位発進。「最高のコンディションでのSPと比べるとできなかったところはあるけど、今できる最大限はできた」と振り返った。

 中1週間の連戦も、対応力で乗り切った。午前の公式練習では、本人の中で微妙な感覚の違いがあったという。頭には複数の要因が浮かび、公式練習で着ていたスーツの衣装を変更して演技に臨んだ。「(うまく)できない理由が複数あった」。結局は衣装のせいではないと分かったが、最高の演技をするため一切の妥協はなかった。

 会場の氷の状態も察知した。「この氷はスピードが出ない。無理にスピードを出そうとすると失敗する」。あえて助走スピードを出さずにジャンプに入り、大崩れを防いだ。「一番リラックスして跳べる方法を模索した結果があの演技だった」。GPファイナルからわずかな時間、練習で意識できたのは「ケガをしないこと」だけ。自らの感覚が道しるべになった。

 2度の五輪でメダルを獲得し、世界選手権王者の称号も得た。25歳になった宇野は言う。「一つの試合に懸ける思いを強くやってきた。何一つ投げ出さずにやってきた。失敗も良い経験になると分かった」。成長を示す5度目の日本の頂へ――。百戦錬磨の男に、死角はない。

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2022年12月24日のニュース