兵庫本拠のプロスポーツ主将3人座談会 道原「結果が全て」荒谷「自立の大事さ」一色「若者に可能性を」
兵庫県内に本拠地を置くプロスポーツチームのヴィクトリーナ姫路(Vリーグ)、西宮ストークス(Bリーグ)、EPIC.EXE(3×3.EXE PREMIER)の3主将が9月中旬に集まり、異種競技間でざっくばらんに意見交換する座談会を開いた。
――3×3バスケットのシーズンは終わりましたが、VリーグとBリーグは開幕間近です。チーム状態と今年の目標をお聞かせください。
荒谷栞主将(ヴィクトリーナ姫路) Vリーグに上がってからずっと下位止まりが続いているので、今シーズンはベスト8以上を目指すことをチームとして掲げています。日本代表に入った宮部(藍梨)だったり、新戦力もいる中で今シーズンはとにかく結果にこだわっていきたいですね。
――チーム状態として全然問題なくきてるんでしょうか?
荒谷 日本代表に入っている宮部だったりとかAVCカップに花井と佐々木が選抜されて抜けたり入ったりしている状態ですが、練習試合を多くやらせてもらっています。チームは力をつけてきているなという実感はあります。
――ストークスの道原選手は?
道原紀晃主将(西宮ストークス) 外国人選手が、まだ何人か合流できていなくて、最近2人目が合流したんですけれど、まだまだ完成はできてないです。ここ数年、プレーオフで負けているのでトーナメントで、勝負どころで勝てるようなチームを作っていきたいなっていうのはあります。
――ヘッドコーチが代わって最初のシーズンですが、どういう話をしてどういう感じで進めていますか。
道原 とにかくディフェンスのルールとかすごく厳しいコーチという印象です。それでも勝敗は絶対ついてくるじゃないですか。勝っても負けてもチーム全体の責任というのをチーム目標として掲げていて。今までは外国人のコーチが多かったので、今は少しずつ選手もアジャストしている感じです。
――EPIC.EXEとしては、今シーズンを振り返ってどうでしたか。
一色篤主将(エピック.エグゼ) シーズンが始まる前はBリーグに所属してる人がいるチームだったりとか、また代表がいるチームとかと試合して勝ったりしていたので、ある程度自信を持って開幕戦を迎えたのですが、開幕戦で思うように勝てなくて。それからずっと苦しい状況が続きました。でも、最終シリーズだったのですが、最終ラウンドで優勝できて、それは来シーズンにつなげるのにいい締めくくりができたかなと。トータルしたらチームとしては満足いく結果ではなかったと思います。
――みなさん出身はバラバラですが、関西のファンの気質的なものとか感じることはありますか。
道原 ここ数年、コロナで声っていうのは実感はできないんですけれど、入団したての頃は阪神タイガースと同じように、ファンの方がすごく盛り上がると感じました。
――姫路はどうですか。
荒谷 関西弁怖いですね(笑い)。初めは普通の会話をしているのに当たりが強く感じるし、責められている感じがしました。
一色 ボク愛媛県出身で、めちゃくちゃきつい感じします。
――まだ慣れない?
荒谷 やっと慣れてきたんですけれど、でも早口じゃないですか。
――ホームで試合する時の雰囲気は東京とは違いますか?
荒谷 入団した時がちょうど3年前で、コロナのために声を出しての応援ができなくなってしまいました。差はあまり感じていません。
――一色選手は関西はどうですか?
一色 そうですね。まあ結構キャラ的にいじられてきたんで、耐性は作れたと思います。ただ、ボケで言われてるのか本気で言われているのか、それが年上の人だったらなおさら怒られているのかなとか。ちょっとまだ慣れてないですね。
――逆に関西の良さを感じるところはありますか。
道原 西宮のチームキャラクターというかチームの色っていうのはすごくフレンドリーな感じなんで、移籍してきた選手からは、今までこんなチームはなかったとはよく聞きますね。初日からめちゃくちゃいじったりとかそういうのがあるので、溶け込みやすいっていう感じはありますね。
荒谷 (昨年開幕戦でケガをして)入院した時にやっぱり関西の人たちという感じが。ヴィクトリーナ自体は関西出身が少なくて、チーム内に6人ぐらいしかいないんですけれど、入院した時は周りが関西人で、本当にフレンドリーで、ほとんどお年寄りだったんですけど、みんな「何のスポーツをしているの」とか関東ではあり得ないなっていうぐらいしゃべりかけてくれるし、お見舞い品を分けてくれたりとか。
一色 (チームのメンバーは)僕以外皆さん関西出身で、入ってきたら全員ウエルカムでご飯行ったりとかめちゃめちゃコミュニケーションを取る。そこは溶け込みやすいというか輪には入りやすいな、とものすごく思いますね。
――競技は違うけれど、プロとしてこういうプレーを見せたいという思いはありますか。
道原 やっぱり結果が全てだと思うので、レギュラーシーズン1位とか2位で通過しても最後(入れ替え戦で)負けてしまったら意味がないと感じていて、強い強いって言われてても最後の勝負どころで負けてしまうっていうのは、プロとしてはもっと成長しないといけないかなとは思っています。
荒谷 移籍する前はプロ契約ではなくて、入団して改めてプロというのを実感しました。前のチームでは環境的にも会社にも守られていましたが、こっちに来てから自分がどれだけやるかで全然結果もついてくるかついてこないかというのを実感しました。ヴィクトリーナに入ってからよりプロというものを自覚してまだ足りないなと思いながら、自立の大事さというのが自分の中で占めているなと思います。
――一色選手は学校の先生をしながらのプレーですが。
一色 BリーグやVリーグは、僕たちよりも入念な準備と、それに対する時間の費やし方とかがあると思いますが、3×3はそうじゃない人が大半で、僕の場合だと平日は仕事して、どちらかと言えばアマチュアの人に近いというか。やっぱり勝つのはもちろんなんですけど、これからプロというのを目指す若者たちであったり、可能性を与えられる存在というか、そういうリーグにできるように周知させることを意識して活動はしています。
――荒谷さんはいつ頃の復帰を目指していますか。
荒谷 一応メドはあるんですけど、自分の中では決められないなと思います。開幕でどれだけ自分ができるようになるのか本当に自分では分からなくて。それこそ早い時期に越したことはないので、1番早い時を目指しているんですけれど、自分としても焦らないように、ここまでに絶対復帰しようとはあえて決めてないです。
――最後に競技を支えてくれているスポンサーに向けてのメッセージはありますか。
道原 何度も昇格できませんでしたという、申し訳ない報告をしているのでいい報告ができればと思っています。
荒谷 ヴィクトリーナのホームゲームではマッチデースポンサーにご支援いただいたりしました。ホームゲームは皆さんの応援が後押しとなり勝率が高いです。今シーズンは結果を残して恩返しします!
一色 イベントとかも運営してくださって、いい報告をっていうのをよりしたいなっていうふうに思っています。
▽ヴィクトリーナ姫路 2016年設立の兵庫県姫路市を本拠地とする日本初の女子プロバレーボールチーム。日本でも競技人口の多い姫路でバレーボールを通して、さまざまな世代の教育や育成を目指す。創部3年目の2018―19シーズンでV2優勝を果たし、1部昇格を決めた。クラブカラーはピンク。
◇荒谷 栞(あらたに・しおり) 1998年(平10)9月22日生まれ、東京都出身の24歳。宮前小3年の時にバレーボールを始め、共栄学園中、共栄学園高と進学。14年の第10回アジアユース選手権代表、15年の第14回世界ユース女子選手権代表、16年の第18回アジアジュニア女子選手権代表入り。17年の第69回全日本高校選手権でベスト8。同年にNECレッドロケッツに入団、20年7月にヴィクトリーナ姫路へ移籍した。1メートル73、65キロ。ミドルブロッカー。
▽西宮ストークス 兵庫県西宮市を拠点とするプロバスケットボールチーム。11年に兵庫ストークスとして誕生し、15年にホームタウンを西宮市に定めるとともに現チーム名に変更した。Bリーグが開幕した2016―17シーズンでB2王者となりB1に昇格したが、翌17―18シーズン17位で残留プレーオフの末にB2降格した。チーム名のストークスは、県鳥の「こうのとり」が由来。
◇道原 紀晃(どうはら・のりあき)1989年(平元)9月7日生まれ、兵庫県出身の33歳。3歳からバスケットボールで遊び始め、春日野小1年の時に三宮YMCAに入る。神戸市立科学技術高3年の時にインターハイでベスト8。大商大を卒業後、12年に兵庫ストークスに入団した。1メートル78、69キロ。ポイントガード、シューティングガード。
▽EPIC.EXE(エピック ドット エグゼ) 兵庫県西宮市を拠点に活動する3人制プロバスケットボールチーム。19年シーズンから「3×3.EXE PREMIER」に加盟。従来のスポーツの枠を超え、兵庫県に新たなスポーツ×エンターテインメントの形を創出し、地域コミュニティーの活性化に寄与することを目指す。
◇一色 篤(いっしき・あつし)1996年(平8)9月15日生まれ、愛媛県出身の26歳。松山市立小野小3年からバスケットボールを始め、松山南高3年の時に長崎国体に出場。広島大進学後は1、2、3年でインカレ出場。2021年シーズン途中からエピック.エグゼ入団。1メートル82、88キロ。
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