WNBAマーキュリーのグライナー選手に禁錮9年 2月からロシアで拘束中 大麻関連としては異例の長期刑

[ 2022年8月5日 08:39 ]

禁錮9年の判決を受けたWNBAマーキュリーのグライナー選手(AP)
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 今年2月からロシアで拘束されている女子プロバスケットボール(WNBA)のブリトニー・グライナー選手(31=206センチ、フェニックス・マーキュリー所属)に対して、モスクワ近郊のヒムキ市裁判所は4日、禁錮9年と罰金100万ルーブル(約216万円)の有罪判決を言い渡した。

 グライナー選手はWNBAのオフシーズンにロシア・エカテリンブルクのチームでもプレーしていたが、今年の2月17日、モスクワの空港での入国の際に大麻成分を含んだ電子たばこ用のカートリッジが発見されて逮捕され、その後にロシアによるウクライナ侵攻が始まっていた。

 グライナー選手は7月に「罪は認めるが、ロシアの法律を破ろうと故意にやったことではない」と主張。判決が出る前には「自分のミスと恥ずかしい行為で家族やチームメート、そしてエカテリンブルク市に迷惑をかけたことを謝罪したい」と語り「この判断が私の人生を終わらせないことを望みます」と訴えていたが、すべてを却下された形となった。

 マリア・ブラゴボリーナ弁護士は、判決を聞いたグライナー選手について「表情こそ変えなかったものの、とても怒っていました。彼女にとっては辛いときだと思います」とコメント。ロシア国内の薬物関連での軽犯罪における最長刑は禁錮10年だが、ロシア人であればほとんどが5年未満となっていただけに、グライナー選手の代理人を務めるリンジー・カガワ氏は「ロシアの基準からしても厳しい刑期。彼女は政治的な人質にされている」とロシア司法当局の判断を批判した。

 AP通信によれば、グライナー選手側には今後10日間、不服申し立ての期間が残されており、プーチン大統領の恩赦要請について聞かれたブラゴボリーナ弁護士はその可能性について否定しなかったが、先に米政府側が示唆していた“人質交換”という超法規的措置については「論議の対象外」としている。

 グライナー選手は2016年のリオデジャネイロ五輪と21年の東京五輪に米国代表として出場し、両大会で金メダルを獲得。WNBAでは2014年に優勝し、17年と19年には得点王にもなった。しかし今季は拘留が続いているためにプレーはできず、所属しているマーキュリーはここまで13勝18敗(12チーム中9位)と低迷している。

 なおアントニー・ブリンケン米国務長官(60)は7月27日、グライナー選手と、同じくロシアで拘束されている元海兵隊員ポール・ウィラン氏(52)の解放させるために「実質的な提案をロシア政府に提示した」と発表。ジョー・バイデン大統領(79)も承認したことも明らかにした。さらにこの事実上の“人質交換”を成立させるには、まずグライナー選手への刑が確定することが前提だとしていた。

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