東海大が劇的6連覇 代表戦で村尾主将が全日本王者・斉藤に一本勝ち 柔道全日本学生優勝大会

[ 2022年6月26日 20:31 ]

柔道全日本学生優勝大会 最終日 ( 2022年6月26日    日本武道館 )

柔道全日本学生優勝大会男子決勝の代表戦で、組手争いをする東海大・村尾(左)と国士舘大・斉藤
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 体重無差別の7人制で争われる男子は、東海大が決勝で国士舘大を破り、6連覇を達成した。本戦は1―1で決着が付かず、代表戦で90キロ級の村尾三四郎主将(4年)が今年の全日本王者で世界選手権100キロ超級代表の斉藤立(3年)に延長戦の末に一本勝ち。学生柔道史に残る名勝負の主役となった。

 男子日本代表前監督で全柔連の井上康生・強化副委員長も「歴史に残る試合」と称えた一戦は、規定の4分間で勝負が決まらず、ゴールデンスコアの延長戦へ。時計が進むに連れ、体力消耗で動きが鈍くなった体重170キロの斉藤に対し、95キロの村尾は積極的に技を仕掛けた。すると延長11分過ぎ、大外刈りを透かした村尾はうつ伏せになった相手に絞め技を仕掛けながら反転させ、縦四方固めでガッチリ押さえ込んだ。3年ぶりの有観客開催でドッと沸く武道の聖地で、延長12分18秒、あまりに劇的な6連覇達成が決まった。

 主将の重責や連覇継続のプレッシャーなどをはね除けた村尾は、「心に残る、忘れることのない試合になった」と大きく息をついた。22日のミーティングで上水研一朗監督から「代表戦になったら行くぞ」と指名され、二つ返事で覚悟を固めた。斉藤とは1年ほど前に稽古で一度組んだことがあるだけで、手探りだった試合序盤に「組んだ感覚で、一発で投げられるとか、運良く相手が転がることはないなと思った。試合をやりながら、(攻略法を)見つけていた」という。相手は右膝故障の影響で本調子を欠いていたこともあり、「(相手の体力を)削って削って、大外刈りのタイミングをずらして透かせばハマりそうだなと思った」。言葉通りに体重75キロ差ある全日本王者を破り、「準備よりも経験や体に染みついたものが出た」と胸を張った。

 神奈川・桐蔭学園高時代からシニアの国際大会で結果を残し、一時は東京五輪の代表候補にも名乗りを上げた90キロ級のホープ。初出場だった昨年6月の世界選手権は2回戦で無念に反則負け。今年は2月のグランドスラム・パリ大会で優勝したものの、4月の全日本選抜体重別選手権は初戦負けを喫し、2年連続の世界代表を逃した。2年後のパリ五輪に向け、今度は個人戦でも結果を残して行く必要がある。「国際大会は別物。(この優勝は)つながらないと思う」と冷静に話したが、井上氏は「今回の経験は一回り強くしてくれると思う。(東京五輪100キロ級金メダルの)ウルフも“この経験を積んだら、大概のことは大丈夫です”と言ってました」とさらなる成長を期待した。

 柔道の実力もさることながら、その人間性込みで今年度は迷うことなく村尾を主将に指名した上水監督も「勢いは完全に(大将戦に勝った)向こうにあった。三四郎にかけていたが、諦めの気持ちだった」という中での6連覇。「斉藤君は全日本王者だが、三四郎はチーム全員の思いを背負っている。今思えば、そこで上回った。大した男だ」と最大級の賛辞を贈った。

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