【元横綱稀勢の里コラム】審判部に配属 分かりやすい説明を心がけたい

[ 2022年6月8日 07:00 ]

二所ノ関親方コラム「寛(くつろ)ぎのひととき」

5月の夏場所で、土俵下から取組を見つめる二所ノ関親方

 5日に新たな拠点となる茨城県阿見町で二所ノ関部屋の部屋開きを行いました。地元の方もたくさん集まっていただき、ありがたい限りです。恩返しは茨城から横綱、大関を輩出すること。一生懸命精進していきます。

 相撲協会の新体制発足に伴う担当替えで、私は審判部に配属となりました。入門した当時は、師匠(元横綱・隆の里)も審判部所属。私が三段目のとき、師匠の紋付き姿が実に格好良かったという印象があります。勝負審判は常にお客さんの視線を背中に浴びるなかでの業務、身が引き締まる思いです。審判デビューは5月の夏場所。久々に相撲を近くで見せてもらって、力士の緊張感が伝わってきました。館内説明は2回ありましたが、正直修業が足りないし、まだまだですね。いつもよりは長く感じた15日間でした。

 基本的に土俵際は足もとを中心に見ますが、一度まげをつかんだことがあった取組では自分だけ事実を確認できませんでした。それも勉強です。時には力士が落ちてくる危険な場所。でも、あの状況になったら、潔く食らうだけですね。

 場所後のコラムでも指摘したように大関・正代が下を向いていることが多いなど、土俵下にいないと分からないこともありました。テレビの映像に入らない所作など、新たな発見もあります。今後の指導の参考にもしたいものです。場所中も裁きが問題になったこともありますが、死に体や、かばい手、送り足など大相撲ならではの「基準」があるので、しっかり理解して、お客さんに分かりやすい説明を心がけていきたいと思います。

 審判団は一門が違う5人の親方で構成されています。私は浅香山親方(元大関・魁皇)、枝川親方(元幕内・蒼樹山)、千田川親方(元小結・闘牙)、竹縄親方(元関脇・栃乃洋)と一緒の班。みんな優しい人で良かったです。特に班長の浅香山親方には館内説明の注意点や心構えなど親切に教えてもらい、とても勉強になっています。コロナ禍の前は、班の5人で会食するなど親交を深めていたこともあったようです。チームワークが求められる職場。一門の垣根を越えていろいろ吸収したいものです。(元横綱・稀勢の里)

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2022年6月8日のニュース