二所ノ関親方 「自分の城」で稀勢2世育てる!1800坪の新拠点で決意新た 相撲部屋の新様式たっぷり

[ 2022年6月6日 05:30 ]

二所ノ関部屋の部屋開きで笑顔を見せる元稀勢の里の二所ノ関親方(中央右)、中村親方(同左)ら(撮影・木村 揚輔)
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 大相撲の元横綱・稀勢の里(35、本名・萩原寛=スポニチ本紙評論家)が師匠を務める二所ノ関部屋の部屋開きが5日、茨城県阿見町で行われた。昨年8月の独立後は筑波大で仮住まいしていたが、1800坪(約6000平方メートル)の新拠点がこのほど完成。2面土俵に加えて広大な敷地内にはバスケットボールができるスペースなど、常識にとらわれない親方の意向が随所に反映された。地元への恩返しのため“稀勢の里2世”を育てる戦いが幕を開けた。

 見渡す限りのどかな風景が広がる常陸野に、天下獲りを目指す男たちの「拠点」がそびえ立った。「自分の城」と表現した二所ノ関親方は、「部屋ができたことをきっかけに“相撲どころ茨城”にしていきたい」と力強く述べた。

 茨城県阿見町。43ある大相撲の部屋で両国国技館からは最も遠い位置にある。当初は都内も候補だったが、最終的には故郷の牛久市に隣接する場所に決めた。後援者の多い地元という点に加え、何のためらいもなく部屋経営を行える広大な敷地を確保できることも決め手になった。

 親方は現役時代から幅広いスポーツに関心を持ち、早大大学院では「新しい相撲部屋経営の在り方」をテーマにした修士論文を執筆した。既存の相撲部屋の常識にとらわれないこだわり。「人生を懸けてやりました」と語るように、サッカーのピッチより若干小さい1800坪(約6000平方メートル)の広大な敷地には新時代到来を予感させる無限の可能性が広がる。稽古場は効率性を重視して通常1面の土俵を2面常設。緑青の屋根は国技館をイメージし、屋外にはバスケットボールができるスペースを設けた。米国のスポーツ選手の体づくりがバスケ主体ということを引き合いに出し「真剣にやらせようかな。膝と足首にも良いと思いますし、瞬発力やジャンプ力も鍛えられる」と説明する。

 風呂場は浴槽が2つあり、最大で10人は入れるという。「銭湯です」と話すのは部屋頭の幕下・友風。冷凍庫は中村親方(元関脇・嘉風)が「ウオークイン冷凍庫という、市場でしか見たことがないようなやつ」と説明した。総工費については「リンゴ何百万個ですかね」と二所ノ関親方はおどけたが、何もかもが規格外だ。

 この日祝辞を述べた茨城県の大井川和彦知事によると、常識にとらわれずにさまざまな挑戦をすることは「茨城県政の旗頭」だという。二所ノ関親方は強い気持ちで意気込む。「この地から強い力士を出して、将来的には横綱、大関を輩出するのが私の夢」。現役時代に数々の名勝負で感動を与えた35歳の新たな挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 ▽二所ノ関部屋 1909年(明42)に元関脇・海山の第5代二所ノ関が創設した。第10代(元関脇・金剛)は病気が長引いたため13年1月に部屋を閉鎖したが、吸収した元大関・若嶋津の松ケ根親方が14年12月に第12代二所ノ関を襲名し再興。昨年12月に先代と名跡を交換した元横綱・稀勢の里の荒磯親方が第13代として襲名した。所属力士は現在18人。

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2022年6月6日のニュース