【玉ノ井親方 視点】御嶽海は高安の術中にはまった 若隆景は緻密な相撲を取っている

[ 2022年3月24日 19:57 ]

大相撲春場所12日目 ( 2022年3月24日    エディオンアリーナ大阪 )

琴ノ若を寄り切りで破った若隆景(撮影・井垣 忠夫)
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 高安を引きずり下ろして優勝争いに残りたかった御嶽海だが、相手の術中にはまり、何もできずに終った。

 高安が本来得意とする形は左四つ。しかし、この一番はあえて右を差しにいった。大関にすれば、立ち合いで当たって圧力をかけ、右を差しながら体を丸くして前に出たかったところ。だが、高安が左を空けるように右を差しにきたことで、吸い込まれるように右四つがっぷりの形で組んでしまった。胸を合わせてしまったら高安に分がある。最後は前まわしを取られ、引き付けられながら前に出られた。

 高安はよく考え、うまく取った。

 これで優勝争いは1敗の高安と若隆景が、後続に2つ差をつけリードする展開になった。若隆景は琴ノ若に右を差されたが、右肩の使い方がうまかった。右を差してかいなを返し、琴ノ若の脇腹にかいなが入るような形になって、相手が動きづらくなるような体勢をつくった。非常に緻密な相撲だった。

 あす13日目の若隆景の相手は御嶽海。高安は貴景勝だ。貴景勝は高安に差されたくないから、下から押し上げようとするだろう。大関にはいなしがあるので、高安が安易に出ようとすると危ない。気を緩めず注意して取ることが大事だ。    (元大関・栃東)

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