父が中国出身のフィギュア米国代表リュウ、スパイの監視対象だった…不審電話、北京では不審者が接触

[ 2022年3月17日 18:32 ]

北京五輪に出場したアリサ・リュウ(AP)
Photo By AP

 北京冬季五輪フィギュアスケート女子米国代表のアリサ・リュウ(16)と父アーサー氏がスパイの標的になっていたとAP通信が17日、報じた。米司法省は同日、中国政府の指示を受けて米国内で反体制派の監視や妨害活動を行っていた容疑で5人を告発したと発表。彼らの監視対象に89年の天安門事件で中国共産党に抗議し、米国へ政治亡命した弁護士のアーサー氏が「反体制派」、アリサが「家族」として含まれていたという。

 アーサー氏は昨年10月にFBIから警告を受けたが、怖がらせないためにアリサには話さなかったと明かし、「五輪に出場できる一生に一度のチャンス。五輪へ行く邪魔をさせるつもりはなかったし、彼女に楽しんでもらうために犠牲を払うつもりだった」と話した。同11月には米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)を名乗る者が電話をかけてきて、アーサー氏とアリサのパスポート番号を聞いてきたため、拒否したという。アーサー氏に電話をかけ、新型コロナウイルス関連の準備でパスポートのコピーが必要と要求した容疑者は15日に逮捕された。

 アーサー氏は北京五輪出場にあたり、アリサの身の安全を保証するとの米国務省とUSOPCからの申し出に同意。最低でも2人のボディーガードを常時つけると言われたと明かした。アリサは同五輪女子シングルで米国勢最高の7位に入り、父の母国でも歓迎されと感じていたが、スパイへの取り調べによると、中国側はアリサが中国国内でのウイグル族への人権侵害について、かつてSNSに投稿していたことを把握。アリサ自身、女子フリーが終わった後の夜にカフェテリアで不審者に声をかけられ、家に来るよう誘われたことをアーサー氏に報告していた。アーサー氏は「反政府の立場を選んだことで、このような人生になったことを受け入れている。中国政府が世界のどこにでも手を伸ばしてくるのも分かっているが、これからも人生を楽しんで生きる。これで引き下がるつもりもないし、彼らを成功させるつもりもない」と語った。

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