村上 涙の有終金、女子床で2度目世界一 観客に母に感謝の舞い「感動届けられた」

[ 2021年10月25日 05:30 ]

体操 世界選手権最終日 ( 2021年10月24日    福岡・北九州市立総合体育館 )

<体操・世界選手権最終日>女子床決勝、演技を終え涙する村上(撮影・小海途 良幹)
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 女子の村上茉愛(25=日体ク)が、黄金の輝きとともに現役生活に別れを告げた。種目別決勝の床運動で14・066点をマークし、金メダルを獲得。同種目で17年大会以来、2度目の世界一となり、引退を正式表明した。平均台は芦川うらら(18=静岡新聞SBS)が14・100点で優勝し、村上は銅。鉄棒の橋本大輝(20=順大)は銀、内村航平(32=ジョイカル)は6位だった。跳馬では米倉英信(24=徳洲会)が銀だった。

 もう見ることはない表彰台の中央からの絶景を、村上が目に焼き付けた。「私は、今日で引退します。最後の最後に金メダルという形で感動を届けられたんじゃないかな。皆さんの応援があったから強くなれた」。劇的な展開で、競技人生に幕を下ろした。

 平均台で銅を獲得した後の床運動。大きなミスなくまとめたが、13・966点だった。この時点で14・000点のメルニコワに及ばなかったものの、陣営はジャッジに得点問い合わせの「インクワイアリー」を提出。難度を示すDスコアが0・1点上がり、14・066点で4年ぶりに世界の頂に立った。

 3歳で体操を始めて20年以上。泣いたことの方が多かったかもしれない。早くから台頭したが、体重管理に苦しみ、練習が苦痛で失踪騒ぎを起こしたこともある。世界選手権の床運動で金、個人総合で銀を獲得したが、19年には腰を痛めて代表落ちも味わった。

 東京五輪の床で、個人では日本女子初の表彰台となる銅メダルを獲得。無観客の夢舞台から有観客の今大会へ歩んだのは自分の演技を見てもらいたかったから。みんなに、そして誰よりも支えてくれた母・英子さんに。表彰式を終えた村上は、感謝を込めて客席の母に花束を渡した。

 男子の活躍が目立つ一方、女子の注目度は低かったが、「女子は無理だろって思われていたのを覆せた」と言う。今後は指導者の道を歩む予定。「たくさんメダルを獲らせたい。何かお手伝いできればいいな」。最後は最高の笑顔で、第二の体操人生を見据えた。

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