19歳・久常涼、超攻撃的ゴルフでV一直線 日本人10代3人目偉業へ

[ 2021年10月3日 05:30 ]

男子ゴルフツアーバンテリン東海クラシック第3日 ( 2021年10月2日    愛知県三好CC西C=7300ヤード、パー71 )

<バンテリン東海クラシック・第3日>8アンダーの好位置でフィニッシュし、同伴組のノリス(手前)とグータッチする久常涼(撮影・井垣 忠夫)
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 首位に8打差の24位から出た新人・久常涼(19=SBSホールディングス)がこの日のベストスコア66をマークし、通算8アンダーの8位に急浮上。通算12アンダーの首位C・キム(31=米国)とは4打差。逆転でのツアー優勝も狙える位置で最終日を迎える。石川遼(30=CASIO)は通算5アンダーの15位にいる。

 これが若さの特権だ。19歳の高卒新人・久常が超攻撃的ゴルフで大躍進。ツアー自己ベストの66を叩き出し、首位との差をグッと詰めてきた。

 「刻んでもラフに入れるタイプだしドライバーは今しか打てないんで」

 先週のパナソニック・オープンで史上5人目のアマチュア優勝を飾った21歳の中島啓太同様、初日からパー3を除く全14ホールで第1打に1Wを握っている。飛距離自慢がそろったこの日のラウンド後のドライビングコンテストは319ヤード。連覇を飾ったC・キムの333ヤードとは14ヤード差の4位だったが「生まれた時から飛ばし屋です」という自己アピール通り、570ヤードの15番パー5では1Wで360ヤードをかっ飛ばし、6Iで楽々2オンを果たしてバーディーを奪った。

 中学、高校でそれぞれ日本一に輝き、ナショナルチーム入りも果たした。アマチュア時代はエリート街道の真ん中を歩んできたが、昨年11月のプロツアー予選会は1次で惨敗。最終予選会進出には11打届かなかった。ショックは大きかったが「逆に覚悟が決まりました」とここから下部ツアーで自分磨き。毎ショット、ドラコン並みのフルスイングでコースを攻めて8戦3勝。今大会から今季レギュラーツアー6試合の出場権を獲得した。

 その初戦でいきなりのV争い。日本人の10代でのツアー優勝となれば石川遼、松山英樹に続く3人目で、松山(19歳261日)超えの19歳24日での年少V記録も懸かる。挫折を味わったとはいえ、これが久常のポテンシャルの高さでもある。「5打差以内なら」。首位と4打差に12人がひしめく大混戦。シンデレラボーイの誕生が見られるかもしれない。

 ◇久常 涼(ひさつね・りょう)2002年(平14)9月9日生まれ、岡山県出身の19歳。3歳からゴルフを始める。岡山・津山東中3年時の17年に日本ジュニア優勝。岡山・作陽高では渋野日向子の4学年後輩 で、1年時の18年には全国高校選手権を制した。プロツアーでは18年KBCオーガスタ11位の成績がある。19年から2年間ナショナルチーム入り。20年12月にプロ転向。得意クラブは1W。師匠は田淵潔。尊敬する人はサッカー日本代表の久保建英。1メートル75、75キロ。

 ▽チャレンジトーナメント 日本の下部ツアー。18年からAbemaTVツアー。新型コロナ感染拡大により20、21年シーズンが統合され、今季は10試合が中止、最終的に17試合が行われる予定。今季の賞金王になると来季レギュラーツアーのシード権を得る。また、賞金王を除く賞金ランク20位までが来季レギュラーツアーの準シード権を得る。シーズン3勝するとその翌週から当該シーズンのレギュラーツアーに出場できる規定が07年に制定され、久常はその規定の適用第1号。

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