新横綱・照ノ富士が5度目V 気合変わらず、威厳示す 不動心のV

[ 2021年9月26日 20:21 ]

 伊勢ケ浜親方(右)から優勝旗を受け取る照ノ富士=両国国技館
Photo By 共同

 大相撲秋場所千秋楽(26日・両国国技館)単独首位の新横綱照ノ富士をただ一人1差で追っていた平幕妙義龍が敗れ、照ノ富士は取組前に2場所ぶり5度目の優勝が決まった。結びの一番で大関正代を一方的に寄り切って13勝2敗。新横綱制覇は2017年春場所の稀勢の里以来で史上9人目。

 これが最高位の威厳だ。結びの前に妙義龍が敗れて新横綱優勝が決まっても、照ノ富士の気合は変わらなかった。「最悪3番でも取る気持ちで来ていた。相撲に絶対はない」。優勝決定戦の取り直しまでも想定し、最後まで責任と向き合った。

 強烈に当たり、左前まわしを引いて正代の腰を浮かせる。相手の右巻き替えに乗じ、力強く寄り切った。新横綱が初日から1人で最高位を務めて優勝するのは戦後初。「ほっとした。引っ張っていかないといけないと思っていた」と明かした。

 古傷の両膝は常に限界に近い状態。12日目の明生戦で敗れた後、左脚を気にした。関係者によると終盤戦に「今場所は長い」と支度部屋でこぼしたという。それでも朝稽古を休まず、連日汗を流した。伊勢ケ浜部屋付きの安治川親方(元関脇安美錦)は「全てを受け入れる覚悟ができている」と評した。

 4年前の春場所、手負いの新横綱稀勢の里に千秋楽の本割、優勝決定戦で連敗して逆転優勝を許した。膝の不安を隠せなかった当時とは別人のような精神力を披露。昇進伝達式で述べた口上の「不動心」を体現し、トップを譲らなかった。八角理事長(元横綱北勝海)は「立派な横綱。堂々としていた」とたたえた。

 20代最後の闘いになる九州場所に向け、照ノ富士は「土俵人生はいつ何が起きるか分からない。精いっぱいやっていきたい」。大関から序二段まで転落しながらはい上がった第73代横綱。新たな相撲道も、心を乱さず突き進む。

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