新横綱・照ノ富士 盤石初陣、巨体の逸ノ城寄せ付けず「不動心」の決意通り

[ 2021年9月13日 05:30 ]

大相撲秋場所初日 ( 2021年9月12日    両国国技館 )

大相撲秋場所初日に横綱土俵入りをする照ノ富士
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 新横綱・照ノ富士(29=伊勢ケ浜部屋)が小結・逸ノ城(28=湊部屋)を力強く寄り切りで下し、白星発進した。2大関はともに黒星発進。正代(29=時津風部屋)は豊昇龍(22=立浪部屋)に寄り切られ、休場明けでカド番の貴景勝(25=常盤山部屋)は北勝富士(29=八角部屋)に押し出しで敗れた。新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言が延長され、今場所も上限約5000人の観客を入れて行われる。

 新横綱の重厚な攻めの前には、206キロを誇る逸ノ城もなすすべなく土俵を割るしかなかった。照ノ富士は素早く左前まわしを引くと右のかいなを力強く返し、4秒余りで寄り切り。再起を後押しした速攻で節目の一番を飾った。

 白鵬が休場。横綱昇進の場所を一人横綱で迎えるのは03年の朝青龍以来。昇進伝達式の口上で述べた「不動心」の決意通りに、照ノ富士は堂々たる姿を披露した。取組後も「今までやってきたことを信じて、一生懸命やるだけだった」と落ち着き払った表情を浮かべた。

 両膝の重傷や内臓疾患により大関から序二段まで転落。奇跡の復活を遂げた第73代横綱は、苦難を物語るように分厚いサポーターを膝に施したまま不知火型の土俵入りに臨んだ。非公開だった明治神宮で一度披露はしたものの、観客の前では初めて。究極の緊張のなか「雰囲気に慣れなかった」と戸惑うが、勝負になれば違った。

 会心の内容で「横綱初陣」をクリアし、17年春場所の稀勢の里(現荒磯親方)以来となる新横綱制覇を狙う。この場所で照ノ富士(当時大関)は優勝決定戦で敗れ「覚悟が違った」と最高位の重みを感じた。荒磯親方は夢をつかんだ苦労人に対し「精神的にも大変な経験をしてきた。横綱になっても、変わらず自分自身を保っていけるはず」と期待を寄せる。

 7月下旬に初めて綱を締めた際、照ノ富士は伊勢ケ浜部屋関係者に告げた。「自分は一日一日が勝負。これからも一緒です」。いきなり一人横綱となった正念場でも、思いは変わらない。「責任を持って土俵に上がって、頑張っていくしかない」。引き締まった表情に、主役としての覚悟がにじんだ。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 照ノ富士はいい踏み込みができた。左上手もいいところを取れた。勝ったことで2日目からまた普通に取れると思う。

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