パラ陸上・佐藤友祈、リオの雪辱果たし金メダル!早くも視線は3年後「パリで世界記録達成を」

[ 2021年8月27日 20:25 ]

東京パラリンピック第4日・陸上 ( 2021年8月27日    国立競技場 )

<男子400メートル 車いすT52>金メダルを獲得しガッツポーズの佐藤(撮影・光山 貴大)
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 陸上男子400メートル(車いすT52)決勝で、世界記録保持者の佐藤友祈(31=モリサワ)が55秒39で金メダルに輝いた。2位は55秒59のレイモンド・マーティン(27=米国)で、上与那原寛和(50=SMBC日興証券)が59秒95で銅メダルを獲得した。

 金を公言しながら銀メダルに終わったリオ大会から5年。過去の自分自身に勝ちスタジアムで勝利の雄叫びを上げた。自らが持つ55秒13の世界記録更新はならなかったが、レース後は「パラリンピックレコードは大きく更新できた」と感無量の表情。早くも3年後へ視線を向け「パリで達成したい」とパリ五輪への金メダル&世界記録更新を宣言した。

 リオ大会で敗れたマーティンに雪辱した。スタートは先行を許したが、得意とする中盤の加速から最後に差し切る、まさに“佐藤劇場”で悲願の金メダルを獲得した。

 「今度パラリンピックで金メダルを取る佐藤です、よろしくお願いします」。車いす陸上を始めたばかりの12年。周囲の選手にそう自己紹介したところから佐藤の金メダルストーリーが始まった。「笑われるかもしれない。けど臆さずに夢を口にした」と振り返る。

 21歳だった2010年に脊髄炎に罹ったことで車いす生活となった。ふさぎ込みがちで夢や目標を持つことはできなかったが、12年ロンドン大会で競技用車いすで時速30キロ以上で走る姿を見たことに衝撃を受けた。「次の舞台には立ちたい。金メダルを取りたい」と一念発起。すぐさま出場可能な試合を探しだしてエントリーした。車いすメーカーの人を見つければ、「次のパラリンピックで金メダルを取るので僕をサポートして欲しい」と競技開始して1カ月の素人ながら必至に売り込んだ。練習環境が整っていると聞けば岡山へ引っ越すなど脅威の行動力が強さの源泉だ。

 父親と妹が全国大会に出場した経歴を持つレスリング一家に育った。小学時代はレスリングに打ち込んだが、全国には届かずに断念。中学では陸上部へ入部も「部内で最下位を争うレベルの選手だった」。進学した工業高校では囲碁部でアマ4段になるまでのめり込んだ。相手の裏を読むことが楽しかったといい「引き離しに行く場面なら先に仕掛けるとか、(囲碁は)陸上にも生きていると思う」と話す。

 全体トップで通過した予選後は「世界記録が狙えると思っている」と自信を口にしていた31歳。4種目の世界記録を持つ“絶対王者”が大舞台で輝くメダルを手にした。

 ◇佐藤 友祈(さとう・ともき)1989年(平元)9月8日生まれ、静岡県出身の31歳。21歳のときに脊髄の病気を患い、両足と左手が動かなくなり車いす生活になった。初出場した16年リオ大会では1500メートル、5000メートルの2種目で銀メダル。18年は両種目で世界記録を樹立。21年にプロ転向した。特技はプーさんの声まね。妻が作るみそ汁(厚揚げ、ホウレンソウ、しらす)で日々充電している。

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