空手・植草 五輪金どころか…メダル暗雲 パワハラ騒動から心機一転1年2カ月ぶり国際大会も3回戦敗退

[ 2021年5月3日 05:30 ]

空手プレミアリーグ(PL)リスボン大会第2日 ( 2021年5月1日    リスボン )

植草歩
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 組手女子68キロ超級で、東京五輪同61キロ超級代表の植草歩(28=JAL)は3回戦で敗退した。今年3月に帝京大時代の恩師である全日本空手道連盟(全空連)の前強化委員長、香川政夫氏(65)をパワハラで訴え、同氏の解任劇に発展。心機一転、約1年2カ月ぶりの国際大会に臨んだが、五輪本番へ弾みをつけることはできなかった。

 ようやく空手に集中できる環境を整えた植草だが、待っていたのは厳しい現実だった。初戦の2回戦はナミビア選手に5―0で快勝も、続く3回戦はスペイン選手に2―2の末に判定で敗戦。昨年2月下旬のPLザルツブルク(オーストリア)大会以来、約1年2カ月ぶりの国際大会は消化不良で終わった。

 今年3月、香川氏の竹刀を使った稽古で左目を負傷したなどとして告発。全空連はパワハラと認定しなかったものの、香川氏の解任を決議した。現役五輪代表による告発は社会的な関心の的となり、植草も倫理委員会による聴取を受けるなど練習に集中できない日々が続いた。4月9日に同氏の解任が決まると、自身のブログに「東京オリンピックで優勝するために引き続き努力していきます」などと思いを記していた。

 だが、大会直前の代表合宿は参加を辞退するなど、勇気ある行動のしこりは残った。指導を受ける崎山幸一氏が監督を務める香川・高松中央高などで稽古に励んできたが、表彰台には遠く及ばなかった。これで19年9月のPL東京大会を最後に、国際大会は5大会連続で優勝なし。昨年12月の無差別で争われる全日本選手権も3回戦負けするなど、光が見えない状況が続いている。

 【パワハラ騒動経過】
 ▼1月27日 竹刀を使用した稽古で左目を負傷。
 ▼3月24日 植草が香川氏を告発したことが明るみに。
 ▼同28日 自身のブログで香川氏によるパワハラ事案を克明につづる。
 ▼同31日 全空連の倫理委員会が都内で両者から事情聴取。
 ▼4月1日 倫理委員会による聴取を受け、植草側が刑事告訴方針を撤回。
 ▼同6日 香川氏が強化委員長および全空連理事からの辞意を固める。
 ▼同9日 全空連の臨時理事会で香川氏の強化委員長解任と、理事辞任を決議。
 ▼同15日 全空連が臨時理事会の内容を公開し、香川氏によるパワハラは認定されなかったことが公に。

 ◆植草 歩(うえくさ・あゆみ)1992年(平4)7月25日生まれ、千葉県八街市出身の28歳。小3で空手を始める。柏日体高(現日体大柏)―帝京大―高栄警備保障―JAL。13年ワールドゲームズ、16年世界選手権、18年アジア大会優勝。18年世界選手権は銀メダル。昨年3月に東京五輪61キロ超級代表に内定。得意技は中段突き。家族は両親と姉。1メートル68、70キロ。

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