マラソン女子代表・一山麻緒 強さの秘密は“黄金色に輝く筋肉”にあり

[ 2020年11月11日 05:30 ]

2020+1 DREAMS

3月の名古屋ウィメンズマラソンで東京五輪女子マラソン代表最後の1枠を射止めた一山は“黄金色の筋肉の持ち主”だ
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 【THE STORY】今年3月の名古屋ウィメンズマラソンで日本人国内最高の2時間20分29秒で優勝し、東京五輪女子マラソン代表最後の1枠を射止めた一山麻緒(23=ワコール)。その強さの秘密は筋肉の質にあった。鹿児島・出水中時代から一山を見てきた石原法明トレーナー(50)は“黄金色の筋肉の持ち主”と絶賛する。

 鹿児島県内で開業していた石原トレーナーが一山と出会ったのは中学2年のとき。知人の紹介で治療したところ、中学生とは思えない筋肉の質や関節の柔らかさに「体中に電気が走るくらいの衝撃だった」という。石原トレーナーは93年世界選手権女子マラソンで日本女子選手として初めて金メダルを獲得した浅利純子をはじめ、世界レベルの選手の治療経験があるが「中学時代から浅利さんをはるかに超えるしなやかさを持った筋肉だった」と振り返る。

 一般的に短距離選手は硬い筋肉、長距離選手は柔らかい筋肉が競技に適しているとされるが、一山は長距離ランナーらしからぬ短距離の素質も備えていたという。石原トレーナーが素質を感じたのは高校2年の県総体女子3000メートル。1位には届かなかったが、抜きつ抜かれつ、ラスト100メートルの猛スパートで3位と0秒02差の2位に食い込んだ。「一山の筋肉は治療のときは物凄く柔らかく、力を入れた瞬間にはめちゃくちゃ引き締まる。ぐっと力を入れたときの収縮率がかなり高い。ラストのスピードは筋肉の質のおかげだと思う」と分析する。

 アフリカ人選手のようなフォアフット(前足部)走法ができるのも、しなやかな筋肉と柔軟な関節のなせる業だという。名古屋ウィメンズでは、女子選手は履きこなすまでに時間がかかると言われているナイキ厚底シューズで快走。30キロ以降はケニア人選手よりもスピードを上げられたのは脚質による部分があるといい「脚が厚底に合わない選手はケガの原因になるが、一山は関節の柔軟性もあるので履いてもケガが少ない。ストライドはむちゃくちゃ良くなった」という。

 足のタコまで連絡する“報告魔”。高校時代には毎日LINEで体の状態のみならず、足にできたタコについても逐一報告していた。「タコが親指から中指になったと伝えてくる選手はいない」と笑うが「そのおかげで脚への体重のかかり方の変化に気付いた。彼女の連絡グセがケガの予防になっている」とも分析する。

 全国とは縁遠かった中学時代から一山の素質に気付いていた石原トレーナーは「体の強さだけではなく地道に頑張れるメンタルも一山の強さ。五輪のメダルだけではなく将来的には日本記録も狙えると思う」と期待を込めた。(河西 崇)

 ◆一山 麻緒(いちやま・まお)1997年(平9)5月29日生まれ、鹿児島県出身の23歳。小学校から陸上を始め、16年に出水中央高からワコールに入社。初マラソンとなった19年東京マラソンでは日本人トップの7位に入賞した。1万メートルの自己ベストは31分23秒30。1メートル58、43キロ。趣味はショッピング。

 ◆石原 法明(いしはら・のりあき)1970年(昭45)8月22日生まれ、京都府出身の50歳。トレーナーとしてダイハツ陸上部などを担当。陸上以外では大相撲の小錦やラグビー選手、プロレスラーなど数多くのアスリートを手掛けた。一山からは「ノリさん」と呼ばれる。現在は鹿児島県薩摩川内市内で川内カイロプラクティックオフィスを経営している。

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