難しい隔離措置…待ち受ける膨大な準備

[ 2020年11月9日 05:30 ]

体操 国際競技会 ( 2020年11月8日    東京・国立代々木競技場 )

体操の国際大会の開会式に臨む各国の選手たち(代表撮影)
Photo By 代表撮影

 【記者の目】今大会の中国選手団は防護服着用で来日した。国際大会への警戒感があったのは仕方がない。その中国選手から「一番大変だったのは防護服で乗った飛行機」とのコメントが聞かれた。裏を返せば日本側のコロナ対策は適切との評価であり、大会開催は来夏の五輪へ向け、世界に“東京なら安全”と印象付けることに成功した。

 大きな収穫は選手の意識改革だろう。内村はアスリート側から国民に対し、前向きな団結を呼び掛けた。萱和磨も「今まで結果を出すことだけ考えていたが、大会を成功させたい、スポーツの素晴らしさを伝えたいと思った」と明かした。コロナ下での五輪実現へ向けた動きが、スポーツの社会貢献という部分を選手に意識させているのは間違いない。

 もっとも、今回のコロナ対策をそのまま五輪に当てはめられるわけではない。選手が一切外出できず、散歩も許されない隔離措置はやはり難しい。今大会の参加選手は「安全のためなら仕方ない」と口をそろえたが、長期滞在かつ選手数が桁違いの五輪で全選手の理解を得られるのか。厳格な対策の徹底には人手も費用もかかる。また、感染リスクは屋外や格闘系など競技ごとに異なり、それぞれ対策を練る必要もある。きめ細かく、膨大な準備が必要な状況に変わりはない。
(五輪統括キャップ・ 中出 健太郎)

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2020年11月9日のニュース