内村航平「できないと思わないでほしい」演技と言葉でGoTo五輪

[ 2020年11月9日 05:30 ]

体操 国際競技会 ( 2020年11月8日    東京・国立代々木競技場 )

鉄棒で圧巻の演技を見せた内村(代表撮影)
Photo By 代表撮影

 男子日本代表の内村航平(31=リンガーハット)が、演技と言葉でTOKYOへの扉を開いた。新型コロナウイルスの感染拡大後、五輪競技では国内で初めて海外選手が参加。来夏の東京五輪に向けたモデルケースとして注目された舞台で、鉄棒のH難度「ブレトシュナイダー」を華麗に決めれば、閉会式では五輪開催へ魂のメッセージを発信した。

 キングの言葉だからこそ、重みが違う。閉会式のスピーチで、内村は大会の感想を話し終えると、「残念だなと思うことがある」と続けた。先月発表された産業能率大スポーツマネジメント研究所のアンケートの結果、東京五輪について84・8%が「来年の開催も難しいと思う」と回答。コロナ下での夢舞台に否定的な意見を念頭に、熱く訴えかけた。

 「五輪ができないんじゃないかというのが、80%を超えていて残念。できないじゃなくて、どうやったらできるかを皆さんで考えて、そういう方向に考えを変えてもらえれば。これは非常に大変なことであると、承知の上で言っている。国民の皆さんとアスリートが同じ気持ちじゃないとできない。どうにかできるやり方は必ずある。できないと思わないでほしい」

 ツイッター、フェイスブックの公式アカウントも持っているが、「SNSで言っても意味がない」と感じた。「世界にもアピールする試合という、いい機会があったので、この場で言わないとたぶん届かない」。コロナ感染防止策を徹底するなど、五輪へのモデルケースとして注目を集めた今大会での発信が、ふさわしいと考えた。

 大会への合宿中、PCR検査で「偽陽性」となる騒動に巻き込まれた。2日間は器具での練習ができなかったが、言葉だけでなく演技でも圧倒的な存在感を示した。

 五輪金メダルを狙う鉄棒で、H難度「ブレトシュナイダー」を決めるなど15・200点をマーク。「完成度としては満足できない」と辛口評価だが、17年以降の世界選手権で、金メダルに相当するスコアを叩き出した。

 競技後はロシア、米国、中国の参加選手と記念撮影。全員が笑顔で充実感に浸りながら、大会の幕は閉じた。

 「選手の表情を見てもらえると分かると思うけど、めちゃくちゃ楽しかった。確実に東京五輪に向けて、いい形でつなげられた」

 TOKYOへの重要な一歩。その中心には、間違いなくキングがいた。 

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