申ジエ 母の命日に今季2勝目「一緒に優勝した気持ち」 史上9人目3日間ノーボギーで逃げ切り

[ 2020年11月9日 05:30 ]

女子プロゴルフツアー スポニチ主催TOTOジャパンクラシック最終日 ( 2020年11月8日    茨城県 太平洋クラブ美野里C=6554ヤード、パー72 )

18番、ウイニングパットを決め空を見上げる申ジエ(撮影・沢田 明徳)
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 首位から出た元世界ランク1位の申(シン)ジエ(32=韓国)がボギーなしの1イーグル、4バーディー、66と伸ばし、通算19アンダーで10年以来3度目の大会制覇を果たした。3週間ぶりの今季2勝目(国内26勝目)で54ホールボギーなしでの優勝は記録が残る90年以降で9人目。17番で圧巻のイーグルなど、03年に亡くなった母の命日に最高のパフォーマンスを披露した。

 16メートルの距離を勢いよく転がったボールがカップに収まると、申ジエは両手を突き上げ、視線を天へと向けた。

 16メートルの距離を勢いよく転がったボールがカップに収まると申ジエは両手を突き上げ、視線を天へと向けた。

 勝負どころの17番パー5で優勝をたぐり寄せる会心イーグル。18番もバーディーで締めた元世界女王は「絶対に優勝したかった。母のことを考えると心が弱くなってしまうけど、強い気持ちで戦った。母と一緒に優勝した気持ち」と浸った。

 この日は黒のウエアで戦った。11月8日は03年に亡くなった母・羅松淑(ナソンスク)さんの命日だ。中学3年生の時、母の運転する車がトラックと正面衝突。妹と弟も1年間入院する悪夢のような出来事だった。あの時から「たくさん、勝って天国(の母)に見せたい」と強く心に刻み生きてきた。

 前半はパットに精彩を欠き6番では50センチのチャンスを外した。4年間バッグを担ぐ斎藤優希キャディーも「パットが悪くて正直危なかった」と振り返るが、経験豊富な元世界ランク1位は「自分は最終組なのでチャンスはある」と切り替える。パッティングは「7番で問題が分かった」とバックスイングを修正。16番終了後にスコアボードで笹生優花に並ばれたことを確認すると「次でバーディー以上を狙うしかない」とギアをトップに入れた。ラスト2ホールで3アンダー。土壇場で勝負強さを発揮した。

 今年はコロナ禍の影響で来日が遅れた。ディフェンディングチャンピオンとして臨む予定だったアース・モンダミン・カップも出場できず、5月に右手首、6月に左肘手術を決断。患部は疲れると痛みが出て、この朝も寒さで違和感があったという。それでも武器とするショット力で、日本ツアー復帰後5戦で早くも2勝を飾った。

 畑岡、渋野らの「黄金世代」に加え、古江、西村ら「ミレニアム世代」、笹生ら「新世紀世代」が国内ツアーを席巻。そんな中、申ジエが3日間ボギーなしの完璧なゴルフを披露した。「30代も頑張っている。後輩にその姿を見せたい」。短い言葉にも若手に刺激を受けた32歳の意地が、凝縮されていた。

 ◆申 ジエ(シン・ジエ)1988年4月28日生まれ、韓国全羅道出身の32歳。韓国の名門・延世大卒。所属はスリーボンド。06年から3年連続で韓国ツアー、09年には米ツアーの賞金女王に輝き、10年には世界ランク1位に立った。日本ツアーはメジャー4勝を含む通算26勝。米ツアーは08、12年全英女子オープンでのメジャー2勝を含む11勝。1メートル55、63キロ。

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