コロナ禍での陸上記録ラッシュ 青学大・原監督が分析する“愛と抑圧”

[ 2020年8月17日 08:30 ]

男子5000メートルで世界記録を塗り替えて喜ぶジョシュア・チェプテゲイ(ゲッティ=共同)
Photo By ゲッティ=共同

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で開催が見送られていた陸上の競技会が国内外で再開されている。驚いたのは初戦にもかかわらず、いきなり日本新や世界新が連発したレースが多かったことだ。コロナ禍で大学運動部の閉寮が相次いだ中、通常通りに活動を続けていた青山学院大陸上部の原晋監督(53)に好記録が生まれる現状について聞いた。

 7月に北海道各地で行われたホクレン中長距離チャレンジでは、女子3000メートルで田中希実(20=豊田自動織機TC)が18年ぶりに日本記録を更新。東京五輪マラソン代表選手もトラックで自己ベストを次々にマークした。海外ではダイヤモンドリーグの今季開幕戦となったモナコ大会(14日)でチェプテゲイ(ウガンダ)が男子5000メートルで16年ぶりに世界新記録を塗り替えるなど、コロナ禍を吹き飛ばすかのような記録ラッシュで活気づいた。

 記者自身、そのシーズン一発目のレースではそこまで記録が出ないのではと思っていたが、良い意味で裏切られた。序盤に好記録が出ることについて原監督は「(コロナ禍で)選手が体力的にリフレッシュできたのは大きいと思います」と話す。

 通常、国内のトラックシーズンは4月から始まる。今年は軒並み中止となったが、ホクレンなどの試合に出た選手や関係者の多くが、試合がないことで故障を癒やしたり集中的に練習できたことが好記録につながっていると話していた。原監督も「(練習が)過負荷になっていたり(試合が重なり)上手に調整できなかったのが、自主練習をさせる時間が増えた結果、選手が初戦にピークを持ってこられたんじゃないでしょうか」と分析。「自主練習的なものが出ている。選手は自分自身で健康管理した結果、意思の高い選手は上手にピークを合わせる力がついたんだと思います」と話した。

 もう一つ、原監督は選手の「走りたい」という熱意が好記録につながったと見ている。

 「人間の成長は“愛と抑圧”なんですよ。人間って抑えられている分だけ跳ね返ってくる。陸上が好きで好きでたまらなかったものがコロナ禍で抑圧されていたんです。大会があることでパワーがボン!と出たんじゃないでしょうか」と独特の言い回しで表現する。

 それは自分自身にも置き換えられるという。「箱根駅伝も絶対優勝と言われながら去年は負けてしまいました。いろんな人に責められ、クソっと思いましたよ。でも、箱根が好きだ、陸上が好きだという愛。そこでボン!と跳ね返ったんです」と笑顔で話した。

 アスリートの抑圧が爆発する陸上界の“特別な夏”はこれからだ。23日にはセイコー・ゴールデングランプリ(東京・国立競技場)、10月には日本選手権(新潟・デンカビッグスワンスタジアム)など大会が続く。短距離では前日本記録保持者の桐生祥秀(24=日本生命)は初戦で10秒04と好記録をマークするなど、9秒台への期待も高まる。原監督の言う“愛と抑圧”の効果やいかに。(記者コラム・河西 崇)

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