女子マラソン、調整は難しい作業に 右足故障の鈴木は焦らないことが必要

[ 2020年7月4日 05:30 ]

東京五輪女子マラソン代表の(左から)前田穂南、鈴木亜由子、一山麻緒
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 陸上のホクレン中長距離チャレンジが4日から始まる。新型コロナウイルスの影響で休止していた競技会が本格的な再開となり、男女マラソン代表などが出場する。初めてMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズを導入したマラソンは、東京から札幌への突然のコース変更に続き、五輪1年延期で計画の大幅な修正を余儀なくされた。元日本記録保持者の高岡寿成氏(49=カネボウ監督)と2大会連続五輪メダリストの有森裕子さん(53)はともに延期のメリットは大きいとした上で、今後は国内外の練習環境整備やロードレース再開の可否が鍵を握ると指摘した。

 【女子マラソン 有森裕子氏】
 東京五輪のマラソンコースは急きょ都内から札幌に変更になり、しかも正式にコースが発表されたのは昨年12月になってからでした。現場では戸惑いの声も多かっただけに、改めて対策を検討する期間が与えられたのは、全員に共通するメリットだと思います。

 瞬発系の種目と違って、マラソンは1年延びたからといって年齢的な面での影響はまずありません。ただ、感染防止のために国内外のロードレースはほとんどが中止になり、秋以降もどうなるのか現時点では予測がつきません。その中でどうやって調整し、駆け引きなどの経験を積み重ねていくのか。恐らく、誰も経験したことがない難しい作業になるはずです。

 1月末に右足を故障した鈴木は今回の延期をプラスと考えて、今は焦らないことが大切です。前田と一山は、もし今冬のレースが予定通り開催されるのなら、練習を兼ねてどこかでハーフかフルマラソンを走ってもいいと思います。ただ、あくまでも調整の一環なので、変なプレッシャーがかかって故障をしないように、小さなローカル大会に出るのも一案でしょう。

 これから先は何が起ころうと、そのたびに自分で考え、常にプラスに持っていくことが大切です。実際のレースでは次々と想定外のことが起きます。その時の訓練をしていると思えばいいのです。

 女子選手はホルモンの関係で男子よりも体調の変化が大きいです。あと1年、まずは健康管理に気をつけて、1年後には悔いのない走りをしてほしいと心から願っています。

 ◆有森 裕子(ありもり・ゆうこ)1966年(昭41)12月17日生まれ、岡山市出身の53歳。日体大から89年にリクルートへ入社。91年の大阪国際女子マラソンで2時間28分1秒の日本最高(当時)をマーク。92年バルセロナ五輪で銀メダル、96年アトランタ五輪でも銅メダルを獲得。

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2020年7月4日のニュース