夏の甲子園中止 大人は手を尽くしたんやろか

[ 2020年5月27日 05:00 ]

前関学大アメリカンフットボール部監督・鳥内秀晃氏
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 【名将鳥内秀晃の人間話 頼むでホンマ】新型コロナウイルスもだいぶ落ち着いてきたな。今になって気づいたこともいろいろあるわ。保健所の人員が足らんし、大変やって言うてたやん。大阪市の保健所、メッチャ合併させられて、数が減ってるねん。こういう感染症とかの想定が全くなかったんやろな。地震とか予期せぬ災害もあるわけやし、今回のことでもう一回、見直すべきちゃう。病院も含めて。無駄や、無駄や、いうて削減したけど、やっぱり数はいるで。お医者さんも、看護師さんも、もっと必要や。介護士さんも含めて、給料が安いやろ。数を増やそうとしたら、待遇面とか、ちゃんとやらなあかんと思うで。

 夏の甲子園中止を決めたお偉いさんにも、ちゃんとしてくれよ、と言いたいな。オレからすると、「どうやったら大会をできるの」ってとこから議論をスタートせなあかんねん。それと、専門家ともいうべきお医者さんが会議に入って決めたことなんか疑問やわ。やりようはいくらでもあったと思うんよ。無観客はしゃあないけど、自分とこの高校の応援団くらいなら、内野席とアルプスでスペース空けて座ったら、リスクは避けられるやん。それでも、感染者が出た時のことを考えて、事前に大阪とか兵庫の病院に受け入れ態勢は十分か聞いとくねん。そういう努力を全部やった結果、「できません」ならしゃあないけど、そこまで手を尽くしたんやろか。

 従来なら甲子園に49代表が出場するわな。遠距離移動もあるし、それだけ集まると密の問題があるけど、例えば県代表決まるやろ。それから近畿、四国とか地区で一番を決めて、8チームくらいならいけるんちゃうの。ホテルも空いてるやろし、宿泊も1人部屋とかにできるやん。高校生が主役やのに、何でそういうことを考えたらへんのかな。開催を決める会議(20日)かて、国が方針を示してからやっても良かったんちゃうの。インターハイも中止になっとるし、子供の立場からすると、何でそんなに早く決めるの、となるわな。

 こういう状況で分かってきたのは、ウイルスはゼロにならへんってこと。ゼロなんか期待しとったら、スポーツも、ブラスバンドなど他の課外活動も、何もできひんよ。経済も動き始めてるわけやし、どうやったらできるんか、もっと真剣に考えんと。生活してたら、必ず何らかのリスクはあるわけやし、注意して、共存してやっていくしかないわ。お医者さんの意見をもっと聞いて、動き出していかんとあかんな。頼むで、ホンマ。(関西学院大アメリカンフットボール部前監督)

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2020年5月27日のニュース