琴恵光 同期の勝武士さん偲ぶ「盛り上げ役で人を喜ばすのが好きだった」天国から「見守って」

[ 2020年5月15日 05:30 ]

同期・勝武士さんへの思いを語る琴恵光
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 大相撲の三段目力士、勝武士(しょうぶし)さん(本名末武清孝、高田川部屋)が新型コロナウイルス性肺炎による多臓器不全のため28歳で亡くなって一夜明けた14日、2007年春場所初土俵の同期である幕内・琴恵光(28=佐渡ケ嶽部屋)が日本相撲協会広報部を通じて「正直驚きました。本当にショックです」と悲しみのコメントを発表した。

 07年春場所の新弟子検査は73人が合格。勝武士さん、琴恵光はともに中学を卒業して角界入りした。本土俵での対戦はないが、同じ二所ノ関一門ということで連合稽古などでも接した。「若い頃、何度か稽古したことがあったが、とにかく真面目にやっていた」と振り返る。勝武士さんは禁じ手などをユニークに紹介する「初っ切り」でも活躍。土俵外でも明るい性格は変わらず「同期会などでは盛り上げ役で楽しませてくれた。人を喜ばせるのが好きだったと思う」としのんだ。

 琴恵光は18年名古屋場所で新入幕を果たした。「幕内に上がった時に反物を作って渡したら、すぐに浴衣にして着てくれた。それが凄くうれしかった。優しい同期生」と思い出は尽きず。勝武士さんは幕下に上がるという目標をかなえられなかったが「最後まで諦めずに頑張ったと思う。今はゆっくり休んでほしい」とねぎらった。

 琴恵光は東十両5枚目の春場所で11勝を挙げ、夏場所の番付では2度目の再入幕を果たした。同期では最上位の西前頭16枚目。「自分たちが胸を張って土俵に上がっている姿を見守っていてほしい」と天国へ奮起を誓った。

 《菅官房長官「協力を」若年層へ呼び掛け》菅義偉官房長官は14日の記者会見で、勝武士さんが28歳の若さで死亡したことを受け、若年層に協力を呼び掛けた。30代以下の若者でも重症化するリスクがあるとして「警戒は極めて大事だ。自身の感染を防ぐとともに、周囲が感染しないように協力をお願いしたい」と述べた。

 《各部屋で対策へ》14日には新型コロナウイルス感染への対策に向けて動く部屋があった。ある師匠は、力士らに体調不良者が出た場合に利用する医療機関や連絡方法を弟子の保護者に説明し「親御さんは不安で仕方ない。万全の注意を払わないといけない」と述べた。日本相撲協会はウイルス感染歴を調べる抗体検査を、希望する協会員全員に実施する。複数の関取を抱える別の親方は「ほぼ全員が(検査を)受ける。状況を把握して少しでも安心できるようにしたい」と話した。

 ◆琴恵光 充憲(ことえこう・みつのり=本名柏谷充隆)。1991年(平3)11月20日生まれ、宮崎県延岡市出身の28歳。延岡市立岡富中から佐渡ケ嶽部屋に入門。07年春場所で初土俵を踏み、14年九州場所で新十両、18年名古屋場所で新入幕。最高位は西前頭7枚目。得意は右四つ、寄り、押し。1メートル78、130キロ。

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