“ゴルフジェンヌ”成田美寿々 YouTube「芝組ゴルフch」で情報積極発信中

[ 2020年4月27日 05:30 ]

代名詞の「花組ポーズ」を決める成田美寿々(「成田美寿々芝組ゴルフch」から)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、女子プロゴルフツアーは依然として開幕が見通せない状況となっている。そんな中、ファンに自らの手で情報を届けようと奮闘する“インフルエンサー”がいる。ツアー通算13勝の成田美寿々(27=オンワードホールディングス)だ。今月1日、YouTubeに「成田美寿々芝組ゴルフch」を開設するなど、積極的に情報発信。スポニチ本紙の電話取材に応じ、思いを語った。 

 ファンの前でプレーしたくても、できない。プロ9年目で初めて経験する状況に、成田は不安な気持ちを抱えながら、いつも応援してくれるファンの存在を思い描いていた。「このご時世、早く、みんな見たいだろうなって。じゃあ簡単に編集して、出しちゃおう」。当初 は編集スタッフを見つけてスタートさせる予定だった、YouTubeチャンネル。一日でも早く、ファンに姿を届けたいという思いで「成田美寿々芝組ゴルフch」をスタートさせた。

 自身で保有する小型デジタルビデオカメラのゴープロ、小型ミラーレスカメラなどを駆使して撮影。その後はパソコンに向かい編集作業を行う。成田の職業はプロゴルファー。動画編集は素人だ。「本当に難しいです。音が小さいとか言ってくれる方がいるんですけど、分からないよ!って(笑い)」。インターネットで検索しながら一から制作方法を学び、動画をアップ。チャンネル立ち上げ後には協力者も現れたが、多くは成田が編集しているものだ。

 26日時点でアップされている動画は15本。「プロゴルファー成田美寿々、YouTube始めました。」からスタートし、過去13勝の優勝クラブを紹介したり練習ルーティンを公開する回など、ファンが思わずクリックしたくなる内容が並ぶ。「ゴルフをすることしか、私は発信しても意味ないかなと思っていて。ゴルフ、トレーニングとかツアーが始まったら転戦する姿とかもアップしていきたい」と語る。

 チャンネル開設のきっかけは、大ファンを公言する宝塚歌劇団だった。「私が宝塚を見ていて、もちろん公演は見ますけど、普段の“素”を見るとうれしいなって思うから。逆に私たちのファンの方はそう思っているかもしれないって」。チャンネルの名前も花組や星組など5つの組がある宝塚をイメージ。「宝塚っぽい、でもやっぱりプロゴルファーって分かる題名を」と、ファンからの提案を取り入れて決めた。

 もちろん、生活の中心は練習だ。昨季は2勝を挙げて賞金ランク17位。3勝して獲得賞金1億円を突破した一昨年(同5位)と比べると、悔しい一年だった。今季はスタッツに着目。最も大きなターゲットは、1ラウンド当たりの平均バーディー数を4・0に届かせることだ。昨季、4・0以上を記録したのは渋野日向子だけ。「いつも3・5前後にはいるんですけど、去年は調子が良くなくて3・1になっちゃって。攻撃的なゴルフを取り戻したい」。現在は千葉県内の自宅を拠点に、100ヤード以内のショットとパット中心に腕を磨いている。

 女子プロのインスタグラム公式共有アカウント「ladygo.golf」の立ち上げにも中心として携わるなど、ファンを大切に思う気持ちは人一倍強い。自身のチャンネルも同じ。「スポーツ選手であると同時にエンターテイナーでもある。ファンの方にゴルフを通じて楽しんでもらえることを発信したい」と、練習の合間にコツコツ動画を作成している。外出の自粛が要請されている今。「大会の中止が続いていますけど、こんな時だからこそ少しでも自宅にいる時間を楽しんでもらえたらうれしいです」。そう心から願っている。

 【成田美寿々(なりた・みすず)】
 ☆生まれ 1992年(平4)10月8日生まれ、千葉県市原市出身の27歳。
 ☆サイズ 1メートル67、60キロ。
 ☆競技歴 12歳でゴルフを始め、千葉・拓大紅陵高入学後に本格的に取り組む。12年富士通レディースで初優勝し、13年8月にプロテスト合格。昨季2勝を挙げるなど通算13勝。
 ☆宝塚歌劇団 青木瀬令奈とともに大ファンを公言。年間10回以上は劇場に足を運ぶ。昨年12月にはヤマハ・レディース葛城Vで得た副賞のグランドピアノを東京宝塚劇場に寄贈。渋野が成田らの勧めで観劇したことも。優勝した際に披露する「花組ポーズ」は代名詞。

 《ゴルフ界では少数派 しぶこはインスタ 遼は公式サイト》現役のツアープロの中で情報発信の手段としてYouTubeを活用している選手はごく少数派だ。女子のトッププロの一人、渋野日向子は主に43万人以上のフォロワーを抱えるインスタグラムを活用し、男子の石川遼は自身の公式サイトから情報を発信している。

 成田以外の女子のユーチューバーは有村智恵、勝みなみら。2年前に公式チャンネルを開設した有村のチャンネル登録者は2万5000人以上。カレーライスを作る動画などプライベートな一面も公開している。先月27日に公開した「現役女子プロゴルファーが昔のクラブ打ってみたらどうなるのか?打ってみたシリーズ!」のパーシモン編は、54万を超える視聴回数を記録した。

 男子では横田真一、片山晋呉、香妻陣一朗、小平智らが利用しており、横田のチャンネル登録者は3万4000人以上。片山をゲストに迎えて世界最先端のスイングを解説する先月24日公開の動画は視聴回数39万以上を記録している。

 《アスリート続々参入》最近はアスリートやタレントのチャンネル開設も増えた。野球界では17年に米大リーグのダルビッシュ有投手が始め、現在のチャンネル登録者は約48万人。最近では「和牛は俺に配らせろ!」と題した動画をアップ。政府が批判を浴びた和牛商品券のパロディーで話題を集めた。サッカー界では中田英寿氏、本田圭佑、メッシ、ネイマールら有名選手が独自の動画を配信している。

 ▽ユーチューバー インターネット上の動画共有サイト「YouTube」に独自の動画を投稿する人および制作者の総称。企業とタイアップして広告を掲載することで収入を得ることができる。学研ホールディングスが発表した、2019年小学生男子が就きたい職業ランクではサッカー、プロ野球選手を抑えて1位に。人気ユーチューバーの「はじめしゃちょー」や「ヒカキン」のチャンネル登録者数は830万人を超える。

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