追悼連載~「コービー激動の41年」その71 変化が漂い始めた新たなシーズン
2008年シーズンは北京五輪が終わった2カ月後の10月28日に始まった。レイカーズは再び頂点を目指して動き始める。そして開幕から19戦を消化時点で17勝2敗。これはチーム史上に残る最高の開幕ダッシュとなった。前季のファイナルでセルティクスに敗れたとは言え、シーズン途中でグリズリーズから移籍してきたパウ・ガソルの存在が大きかった。コービー・ブライアントも「細かいところにこだわるあたりは自分に似ていた」とシャキール・オニールとは対極に位置しているビッグマンとの“合体”に心地よさを感じていた。
なにより大きく違っていたのはフィル・ジャクソン監督との関係だった。1年のブランクをはさんでレイカーズに復帰して4シーズン目。ファイナル3連覇を達成した第一期(1999~2003年シーズン)では衝突を繰り返していたが、ブライアントはすでに30歳となっていた。
「最初にレイカーズに来たとき、彼(ジャクソン)は僕が聞く耳を持っていないと思っていた。でも戻ってきたときには“あるべき姿”になっていたことがわかったはずだ。自分は詮索好きで誰にでも質問をしてしまう。でもそれが何かを学ぶために情報を求めているのだということを理解してもらった。そしていったん理解してもらうと、彼は我慢強くなった。自分の質問にもちゃんと答えてくれた。優れた指導者はどこに“魚”がいるのかをきちんと教えてくれるが、まさに彼がそうだった。どこがうまくいって、どこがうまくいっていないかを指摘してくれた」。2018年刊の自著「マンバ・メンタリティー」にはそう記されている。
背番号が入団時の8から24となってて3シーズン目。チームの大黒柱の変化は指揮官も感じ取っていた。
「彼(ブライアント)は時々、自分のためのプレーをしていた。そこで私はゲームを壊さないようにしようと話し合った。コービーは私を我慢したし、私もコービーを我慢するようになった」
ジャクソンは午前中のチーム練習では早めに練習場に到着していたが、駐車場では隣のスペースでブライアントが停めてあった自分の車の中で仮眠をしている姿を何度も目撃していた。チーム練習の前にすでにウエート・トレーニングなどで汗を流していることを知っていた。だからお互いを尊重できるようになると、人には見せない陰の努力がチームにとって欠かせない「DRIVING・FORCE(原動力)」になることを感じ取っていた。そんな“真の和解”が成立して迎えたのが2008年シーズンだった。
レイカーズは2009年3月26日の時点で前季の勝ち星(57勝)に並び、翌27日には早々と西地区パシフィックでのディビジョン優勝が確定。レギュラーシーズンは65勝17敗で終え、プレーオフの1回戦はジャズを4勝1敗で制圧した。そして西地区準決勝では226センチの姚明と“得点マシン”のトレイシー・マグレイディーを擁していたロケッツと顔を合わせた。
ロケッツはこのシーズン53勝29敗で西地区全体の5位。しかし1995年のプレーオフでは西地区6位からはい上がってファイナルでマジックを4勝0敗のスイープで倒した実績があり、シード順では計り知れない底力を持っていた。
レイカーズはレギュラーシーズンではロケッツに対して4戦全勝。「プレーオフで負けるはずがない」。誰もがそう思っただろう。しかし自信が油断になる雰囲気はあった。5月4日の第1戦、レイカーズは地元ロサンゼルスでロケッツに92―100で苦杯。ブライアントは32得点をマークしたが、チームの3点シュート成功率は11・1%にまで低下し、その一方でロケッツの姚明には28得点と10リバウンドを許してしまった。
6日の第2戦は大荒れの展開。第3クオーターに入ってレイカーズのラマー・オーダムのユニフォームをロケッツのルイス・スコラがつかんで突進を阻止し、これがきっかけとなって両軍の選手がコート上でもみ合いとなった。試合はレイカーズが40得点を挙げたブライアントの活躍もあって111―98で勝つのだが、実はこのラフファイトの中に翌年の優勝に絡むキーパーソンがいた。その人物はNBAの歴史を汚した超問題児。ジャクソンもブライアントもやがてチームメートとなる運命を知らないこともあって、“敵”のふるまいに怒り心頭だった。(敬称略・続く)
◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。NFLスーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会には一昨年まで8年連続で出場。フルマラソンの自己ベストは2013年東京マラソンの4時間16分。昨年の北九州マラソンは4時間47分で完走。
2020年4月27日のニュース
-
ロンドン五輪競泳平泳ぎの銅メダリスト立石諒氏が学生支援のアイデア募集
[ 2020年4月27日 20:09 ] 水泳
-
日本ジュニアゴルフ選手権など4大会中止 コロナ影響で地区大会開催できず…
[ 2020年4月27日 16:42 ] ゴルフ
-
琴勝峰が新入幕「まだまだ上はある」と意欲 同学年の豊昇龍&納谷は「刺激し合える仲」
[ 2020年4月27日 16:37 ] 相撲
-
A東京選手が算数の先生に!ドリル活用した講義を動画配信
[ 2020年4月27日 16:28 ] バスケット
-
島田高志郎がファンへメッセージ 「大切な人たちの命を守るため我慢の時です」
[ 2020年4月27日 16:27 ] フィギュアスケート
-
柳田将洋 インターハイ中止受け学生へエール「毎日少しずつ前を向いて」
[ 2020年4月27日 16:18 ] バレーボール
-
ナイキ、トラック競技用の新作スパイクを29日発売
[ 2020年4月27日 15:44 ] 陸上
-
西山真瑚、小野光希に東京スポーツ奨励賞 ユース五輪金メダリスト
[ 2020年4月27日 15:30 ] フィギュアスケート
-
パスTD皆無のQBが年俸11億円 セインツのヒルが延長契約に合意
[ 2020年4月27日 14:00 ] アメフト
-
新大関・朝乃山、新番付表に喜びも 感染への不安吐露「自分らがなってもおかしくないレベル」
[ 2020年4月27日 13:15 ] 相撲
-
元啓光学園ラグビー部監督・記虎敏和氏 心一つに力合わせ―今こそワンチーム
[ 2020年4月27日 11:17 ] ラグビー
-
NFLドラフトが歴代最多の視聴者数を記録 新型コロナの影響による巣ごもり需要?
[ 2020年4月27日 10:16 ] アメフト
-
追悼連載~「コービー激動の41年」その71 変化が漂い始めた新たなシーズン
[ 2020年4月27日 08:10 ] バスケット
-
“ゴルフジェンヌ”成田美寿々 YouTube「芝組ゴルフch」で情報積極発信中
[ 2020年4月27日 05:30 ] ゴルフ
-
奈紗「うれしい」 憧れの宮里藍さんにメジャーV託され 五輪では「金」目指す
[ 2020年4月27日 05:30 ] ゴルフ
-
女子ゴルフ 開幕から14戦連続中止 国内ツアー約3分の1が「消滅」
[ 2020年4月27日 05:30 ] ゴルフ
-
失われる高校最後の夏…インターハイ、史上初の中止 連盟首脳「断腸の思い」
[ 2020年4月27日 05:30 ] スポーツ
-
高校スポーツ指導者らも無念…「かわいそうで仕方がない」
[ 2020年4月27日 05:30 ] スポーツ
-
“タックル王子”高谷 面白トレ動画でレスリングPR「東京の金メダルは予約している」
[ 2020年4月27日 05:30 ] レスリング
-
相撲協会 角界コロナ禍でも5月場所開催「諦めない」 新番付は27日発表
[ 2020年4月27日 05:30 ] 相撲
-
桃田賢斗 動画メッセージで子供たちを激励「大好きなバドミントンができるよう頑張りましょう」
[ 2020年4月27日 05:30 ] バドミントン
-
宇野昌磨 4回転フリップなどの練習動画を公開「この時期を乗り越え、また皆さんの前で…」
[ 2020年4月27日 05:30 ] フィギュアスケート
-
宮原知子 トロントから“自粛生活”を報告「趣味に没頭する時間を楽しんでます」
[ 2020年4月27日 05:30 ] フィギュアスケート
-
重量挙げ「Eメール国際大会」開催 東京五輪の当初開幕予定日「7・25」に
[ 2020年4月27日 05:30 ] 重量挙げ
-
アーチェリー 史上初のリモート形式で大会開催 男女各4人を招待
[ 2020年4月27日 05:30 ] アーチェリー
-
NBA 5・1からチーム施設の使用許可へ 外出規制解除の州&地区が対象
[ 2020年4月27日 05:30 ] バスケット