東京パラ延期 リスク回避歓迎の一方で…障がいの進行やクラス分けへの影響懸念も

[ 2020年4月11日 09:50 ]

チャレンジド・アスリートの軌跡~障がい者スポーツ~

 新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期された東京パラリンピックは11日、開幕500日前を迎えた。

 延期で選手や競技団体からリスク回避に歓迎の声が上がった。頸髄(けいずい)損傷や脳性まひなど重度障がい者は多くが呼吸器系の疾患を持つ。ボッチャや車いすラグビーなどの一部選手に肺炎は大きな脅威で日本ボッチャ協会の三浦裕子事務局長は「感染したら命に関わる選手もいる。ワクチンもなく対処法も見つかっていない中で延期されてホッとしている」と息をついた。

 一方で変化への適応や情報処理が苦手な知的障がい選手には特有の難題も浮上。延期の事実を認識すること自体が難しく、知的障がい陸上に携わる目白大の佐藤広之教授(リハビリテーション医学)は「健常者のような気持ちの切り替えやモチベーションの維持は簡単ではない。延期をしっかり理解できなかったりもする」と話す。

 多くの種目は予選が延期になるなど代表の選考方式が混乱。1年という長期間の延期に伴って障がいが進行する可能性やクラス分けへの影響を懸念する声もあり、延期決定がもたらしたインパクトは肯定的、否定的の両面で五輪以上に大きい。

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2020年4月11日のニュース