夏場所中止も…力士がコロナ 角界初 幕下以下名前や所属公表せず

[ 2020年4月11日 05:30 ]

夏場所初日を待つ国技館。力士が新型コロナウイルスに感染したことで中止になる可能性が浮上
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 日本相撲協会は10日、新型コロナウイルスへの感染の疑いがあった幕下以下の力士1人がPCR検査の結果、陽性だったと発表した。力士ら相撲協会員の感染が確認されたのは初めて。3月の春場所は感染拡大防止のため史上初の無観客で開催したが、日程を2週間延期して5月24日に初日を迎える夏場所(両国国技館)は中止の危機を迎えた。

 ついに角界からも感染者が出てしまった。この幕下以下の力士は4日に発熱し、2日程度で解熱した後に再び高熱が出た。倦怠(けんたい)感、息苦しさに加え、血痰(けったん)などの症状があり、8日に都内の病院で簡易的な検査を受けていた。いったん陽性とされた後に病院側の訂正で陰性に。入院して9日にPCR検査を受けたところ、この日になり陽性であることが判明した。

 初の感染者が出たことを受けて電話取材に応じた芝田山広報部長(元横綱・大乃国)は「感染症が身近に存在していると痛感した。重篤にならないよう心から祈っている」と話した。力士の名前や所属部屋は公表されないが、所属部屋で他に体調不良を訴える協会員はいないという。相撲協会は同じ部屋で生活する力士に対してもPCR検査を受けさせる意向を示していたが、今後は保健所の指導を基に対処する。当該力士については外部との接触、行動範囲などの確認を進めていく。

 相撲協会は感染拡大の影響により、夏場所と名古屋場所の開催をそれぞれ2週間延期。八角理事長(元横綱・北勝海)は「通常開催を目指しながら、縮小しての開催、無観客開催、あるいは中止を含め、あらゆる角度から柔軟な姿勢で検討を重ねる」と説明していた。史上初の無観客で開催した3月の春場所は、協会員に一人でも感染者が出た時点で中止とされた。今回、初の感染者が出たことで、夏場所の開催は危ぶまれる状況となった。

 相撲協会は春場所前から、不要不急の外出を控えるように求めてきたが、それでも感染者が出てしまった。今後、感染者が増えてもおかしくない事態に芝田山広報部長は「世の中の状況も緊迫している。どういう方向性に持っていくか決めていかないといけない」と危機感をあらわにした。

 感染者が確認されているプロ野球やJリーグも開幕、リーグ再開が大幅に遅れている。相撲協会が夏場所の開催方法を決定するのは5月に入ってからとみられるが、早くも土俵際に追い込まれた。

 【相撲界の新型コロナウイルスを巡る経過】
 ▽2月25日 日本相撲協会が春場所の中止、無観客開催について協議。
 ▽3月2日 協会が春場所の無観客開催を決定。感染者が出た場合、場所中でも中止することも決める。
 ▽6日 協会は春巡業の中止を発表。
 ▽8日 エディオンアリーナ大阪で史上初めての無観客で春場所初日。
 ▽15日 西前頭15枚目の千代丸が発熱で休場。
 ▽16日 千代丸が力士として初のPCR検査。
 ▽17日 協会が千代丸の陰性を発表。
 ▽22日 感染者ゼロのまま千秋楽を迎える。
 ▽4月3日 協会が臨時理事会で夏場所、名古屋場所の2週間延期を決定し発表。
 ▽9日 幕下以下力士が1人、簡易検査は陰性だったが、入院し、PCR検査を受けたと発表された。

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