青木コーチが明言!ぶれぬ渋野のアプローチ 五輪延期も21年米ツアー参戦で代表入り目指す

[ 2020年4月11日 10:00 ]

青木コーチ単独インタビュー(上)

愛弟子の渋野(左)を指導する青木コーチ
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 AIG全英女子オープン覇者・渋野日向子(21=サントリー)を指導する青木翔コーチ(37)がスポニチ本紙の単独インタビューに応じ、愛弟子の「過去」「現在」「未来」を語った。2回にわたって特集する。第1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京五輪が延期となる中、2021年夏へ向けてどのような道筋を歩むのか。表明していた2021年の米ツアー参戦プランを変更することなく、五輪代表入りを目指すことを明かした。(取材・構成 黒田健司郎、石川勝己、中村文香)

 コロナ禍によって出場を予定していた試合が次々と延期や中止となり、ついには最大のターゲットだった東京五輪の1年延期が決まった。今年の目標に「金メダル獲得」を掲げた渋野にとって、大きな影響を受ける事態。だが、本人は意外なほど落ち着いた反応だったという。

 「“のほほん”としていましたよ。オリンピックの週は何しようか、っていうような話をしたりして。自然に受け入れていた?そうですね」

 世界が未曽有の危機にひんしている状況。無観客での開催や中止も取り沙汰されていた中での延期という決定を重く受け止めた。

 「彼女自身も“ギャラリーさんの中でやりたい”っていう気持ちがあるでしょうし。(日米ともにツアーの)試合がなくなったことに対しても、やれないよねって。怖いですもんね。僕らも親御さんから選手を預かっている立場。やっぱり、命あってのものですから」

 五輪とともに、今年の目標に掲げたのが米ツアー挑戦権の獲得。21年に参戦するため、今秋のQシリーズ(米ツアー予選会)を受験する計画を立てた。五輪1年延期によって代表争いが来年6月末まで1年延びる可能性が高い中、環境を大きく変えることはリスクも伴う。コーチとして、どのような道筋を描いているのだろうか。

 「絶対に変わらないですよ。例えば、来年のオリンピックに出たいからランキングを守るために国内にいるという選択をしたとします。そうしたら、彼女は二度とアメリカに行かないと思うのが理由の一つ。もう一つは彼女の性格を考えた時に、国内に残ってランキングにはじかれたら凄く後悔すると思うんですね。挑戦して失敗したことに関しては、彼女は自分を受け入れられる。そのへんが大事になってくるし、最後にクラブを置くときのことまでを考えたら今、挑戦するしかない」

 21年米ツアー挑戦プランに変更なし――。青木コーチははっきりと明言した。現在、関西エリアを中心に調整を続ける渋野はどのような様子なのだろう。

 「(開幕の)ダイキン・オーキッド・レディースとか2、3試合なくなって、それでもあると思って準備していました。ここまで(開幕が)延びたら、ちゃんとやらないとっていうアスリートとしての責任感があって動いていると思います」

 プロ初優勝を飾ったワールドレディース・サロンパス・カップ(5月7~10日)が中止など、全くシーズン開幕が見通せない状況。どのようなモチベーションで練習を積んでいるのか。

 「開幕がいつになるか分からないから、(選手には)気持ちは切れていいよって。ガチガチに練習する必要はない。もちろん、早く試合が始まるに越したことはないけど、前半戦がなくなることも想定はしています。だから、Qシリーズに向けてっていうのを頭に描いて。最大の目標はそこになりますから」 

 ◆青木 翔(あおき・しょう)1983年(昭58)3月28日生まれ、福岡県出身の37歳。福岡大卒。11年からジュニアなどの指導を行い12年に「AOKI SHO GOLF ACADEMY」を設立。USGTF公認ティーチングプロ資格保持。18年から渋野日向子とコーチ契約を結び、メジャー制覇を飾った19年のAIG全英女子オープンではキャディーも務めた。家族は夫人と長男。1メートル81、77キロ。

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