4・11幻の天王山 コロナで消えたパナソニックVS神戸製鋼

[ 2020年4月11日 06:00 ]

首位攻防戦が行われるはずだった熊谷ラグビー場
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 新型コロナウイルスの感染拡大により、ラグビー・トップリーグの7節以降と日本選手権が中止になった。リーグ不成立で順位が付かない異例のシーズンになった。神戸製鋼は連覇の夢が絶たれ、11日の第12節で対戦予定だった、天敵パナソニックとの首位攻防戦(埼玉県・熊谷ラグビー場)も流れた。大入り確実だった「幻の4・11」から見えた2019年W杯後のフィーバーを振り返る。

 きょう4月11日は、ラグビーファンの記憶に残る1日になったかもしれない。6節を終えて2位で連覇を狙う神戸製鋼と、勝ち点2差の首位パナソニックが、12節で激突するはずだった。両チームには19年W杯の日本代表がひしめくだけでなく、世界のトップ選手も在籍。人気でもリーグを引っ張った。

 神鋼の福本正幸チームディレクターは「チケットを用意できてるかどうか」と頭を抱えていた。ファンクラブ会員や従業員に割り振る入場券の数が不透明だったからだ。日本代表が初めて8強入りをしたW杯フィーバーを受け、今季はチームが購入できる枚数が激減。4・11は申し合わせの「1チーム2000枚」に届かないと覚悟した。

 6節までも、V7時代以上の盛況だった。開幕キヤノン戦は、昨季比4倍の2万3004人が入るなど、3試合で2万人超え。FB山中、プロップ中島らのW杯代表選手を中心にしてプレーでも魅了した。ファンクラブ会員は、この1年で約7000人増えた。手続きや特典送付が追いつかないため、泣く泣く計1万人手前でストップをかけた。

 昨季、元ニュージーランド代表のコーチ、ウェイン・スミス総監督が就任し、15季ぶり日本一に輝いた。ただし、組み合わせの関係で、パナソニックとの対戦はなかった。相手が三洋電機時代の03年度に勝ったのを最後に、15連敗中の天敵。「白黒はっきりさせたかった」。福本氏は、4・11を連覇への天王山と見ていただけではなく、長年の雪辱をする場と考えていた。

 両軍を迎える埼玉県協会の増田伸二理事長は、満員確実と感じていた。熊谷は2万4000人収容。「笑わない男」稲垣らがいるスター軍団パナソニックと、日本代表リーチ主将を擁する東芝が対戦した2月15日は、2万2705人も入った。

 この時、バスやタクシーが足りず、熊谷駅からの遠い5キロを歩く人が続出した。日本戦以外の3試合を開催した“W杯級”の盛り上がりながら、当時のような行政支援はなく、増田理事長は「金銭面からバスを増やしたくてもできない」と、ジレンマを抱えていた。何とかやりくりをして増便態勢を敷くつもりだった4・11は、それでも多数の歩行者は避けられず、選手カードを渡すサービスを考えていた。

 東西両雄によるビッグカードは、コロナ禍で幻となった。盛り上がりを、来季へつなげるべく、神鋼の福本氏は「お客さんをもっと楽しませる仕組みを考えたい」と前を見る。ラグビー熱を絶やさないために、従来の枠に縛られない組織作りを進める。

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