一戸 23年ぶりの「銅」 白幡以来「オールラウンド」で2人目快挙

[ 2020年3月3日 05:30 ]

スピードスケート世界選手権最終日 ( 2020年3月1日    ノルウェー・ハーマル )

総合3位に入った一戸(右端)、中央は3連覇したルスト
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 短距離から長距離の4種目総合で争うオールラウンド部門で男子は24歳の一戸誠太郎(ANA)が日本新記録の149・310点で総合3位に入った。97年2位の白幡圭史以来23年ぶり2人目となるメダル獲得。500メートル1位、1500メートル3位、1万メートル2位と健闘した。

 一戸の成長が止まらない。初制覇した昨年末の全日本選手権で樹立したオールラウンドの日本記録を、世界一を決める大舞台で塗り替えた。8位だった5000メートルを強化すれば「金メダルも狙える」。日本男子で23年ぶりのメダルを、ガッツポーズで喜んだ。

 「ずっと苦手意識があった」という1万メートルで進化を印象付けた。総合3位で迎えた最終種目。期待と重圧が高まった25周のレースは中盤まで1周31秒台をほぼ保ち、後半には30秒台もマーク。練習に耐えきれず「疲労困憊(こんぱい)で1週間くらい抜けた時が2回あった」というほどの過酷なナショナルチームでの鍛錬の成果で、自己ベストを約20秒も塗り替えた。

 山形中央高の同級生だったウイリアムソンも6位に入った。活況のスプリント勢に負けじと「長距離も世界を見据えて戦っていると見せられた」と胸を張る。2月の世界距離別選手権では団体追い抜きで銀メダルを獲得し、初の表彰台。その中心的存在だ。

 2年後の北京五輪に向け、女子の高木美帆(日体大助手)のような不動のエースになれるか。来季は「ワールドカップで表彰台の常連になりたい」。24歳の男子新エースにとって、その目標はもう高望みではない。

 ▽オールラウンド 短距離から長距離の4種目総合で争う。男子は初日に500メートルと5000メートル、2日目に1500メートルと1万メートルを、女子は初日に500メートルと3000メートル、2日目に1500メートルと5000メートルを滑り、総合得点を競う。男子はスケート王国のオランダが、世界選手権で9大会連続金メダルを手にするなど、伝統的に欧米勢が強い。

 ◆一戸 誠太郎(いちのへ・せいたろう)1996年(平8)1月25日生まれ、北海道出身の24歳。父の影響で9歳から本格的に競技を始める。山形中央高―信州大を経てANA入り。18年平昌五輪で団体追い抜き5位、5000メートル9位。昨季全日本距離別選手権で1500メートルと5000メートルを制し、世界距離別選手権で1500メートル4位。両種目の日本記録を持つ。1メートル76。

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