なぜ墜落? ブライアント氏所有のヘリコプターの“謎”に全米騒然 濃霧は苦手?

[ 2020年1月27日 11:54 ]

墜落した「シコースキーS-76B」の同型機(AP)
Photo By AP

 墜落した故コービー・ブライアント氏(享年41)所有のヘリコプター「シコルスキー・S―76B」は、シコルスキー・エアクラフト社(本社・米コネティカット州ストラトフォード)が開発した双発ターボシャフト・エンジンの中型ヘリコプター。その原型モデルは、同社が民間市場拡大のために1977年から世に広めた機種だった。

 流線形でデザイン性にも優れており、報道、警察用だけとしてでなくセレブ用や遊覧用にも使われており、その派生機となるS―76A~Dは機種によってエンジンが異なっている。

 米航空局によれば今回の事故原因は不明。今後は米国運輸安全委員会(NTSB)が現場にスタッフを派遣して墜落原因の究明にあたることになっており、10日以内に報告書が提出される予定。AP通信の取材に応じた航空関連訴訟を担当しているゲイリー・C・ロブ弁護士(カンザスシティー在住)は「シコルスキー・S―76Bは一般的に優秀なヘリコプターで、安全性でも実績を残している。しかし部品が傷み、故障すれば何が起きてもおかしくない」と語っている。

 日本の航空専門家によれば、この機種は低速域から高速域まで操縦性、安定性に優れており振動も少なめで、海上保安庁や民間航空会社で採用。ただし1990年に民間航空会社の一機が山間部に衝突し、1998年には海上保安庁での救助訓練中に故障が発生している。パイロットにとって生命線となる計器盤の位置が高く前方への視認性がいまひとつという見方もあり、基本的に有視界飛行が原則のヘリコプターの運行の中で、それが濃霧の中での飛行に影響を与えたかどうかが事故原因究明でのカギになる可能性がある。 

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