大関候補明暗…朝乃山「完成しつつある右四つ」、御嶽海「下がりっぱなしはダメ」

[ 2019年11月26日 08:30 ]

11勝を挙げ大関候補の筆頭となった朝乃山(右)
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 【荒磯親方 九州場所総括】優勝した白鵬は多彩でした。自分の力量を含め、全てを分かっている感じです。筋肉で戦おうとすると、筋肉量は若い人の方が多い。相手に力を出させないということが長くやれる秘けつです。若い力士が対抗していくには、心技体の「体」の部分で倒しにいかないといけないのですが、下が伸びていないというのが現状です。

 6勝に終わった御嶽海は、私も強さを知っているだけに、もう一回つくり直して頑張ってもらいたいものです。前に圧をかけていけば負けることはないのですが、下がれば下がりっ放しになることがありました。何が足りないか、しっかりと向き合うべきです。私も三役だった10年名古屋場所、秋場所で負け越し、平幕に落ちた九州場所はいろいろと考えて土俵に上がり、白鵬の連勝を63で止めました。負け越した2場所を励みに、1年後には大関に昇進しました。三役を17場所連続で守ってきた御嶽海も、番付が落ちた方が良かったと言えるようになることを期待します。

 11勝の朝乃山は御嶽海に代わって大関候補の筆頭となりました。右四つの相撲は完成しつつあります。変に左四つを覚えたり、突き押しでいく必要はありません。立ち合いで相手をぶち壊せる力もついてきているので、右四つを鍛えていけばいいでしょう。当たってすぐに差しにいくのではなく、当たる瞬間の1秒くらいの攻防の中でどれだけ我慢できるか。貴景勝も我慢しながら当たっているように、それができれば大関の相撲になります。

 小結で3場所連続で勝ち越した阿炎は自分の体をよく分かっていて、手足の長さをうまく利用していました。そのスタイルがはまってきています。懐を生かせば、貴景勝でも落ちていました。大関からの陥落が決まった高安は、パワーは問題ないのですが、長所が短所だったりすることもあるのかなと思います。かち上げがはまらなければもろ刃の剣になります。力勝負になると体を痛めてしまうこともあります。力がなくても勝てるように考えていくことも必要でしょう。 (元横綱・稀勢の里)

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